暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
”激唱インフィニティ”
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「フロストノヴァ……!」
「な、何この寒さ……?」

 自らの腕を掴んで震えるちづる。
 彼女へも目をやりながら、ゆっくりとビーストの前に立つのは、白いウサギの耳のような頭部が特徴の女性。
 今回マスター探しのきっかけとなったフロストノヴァ。

「何でここに……!? 一之瀬ははマスターじゃないんだろ……ッ!」

 フロストノヴァは、伸ばしたままの手を下ろすことなく、アウラを睨んでいる。
 彼女の周囲に、避難を選択していない人はいない。おそらく、近くにはマスターはいないのだろう。

「少なくとも今は、単独行動ってことか……」

 フロストノヴァの目は、じっとアウラを見つめている。

「お前が戦いを降りる気がないことなど明白だ。やはり、お前は気に入らない……」
「本当にあなたには嫌われたものね」
「……そして、お前もか」

 フロストノヴァは目だけを動かし、パピヨンを睨む。彼女の視線に晒されたからか元からか、パピヨンは奇妙なポーズでフロストノヴァを受け入れた。

「ランサーにネクロマンサーそしてゲートキーパー……だんだん盛り上がって来たではないか……!」
「お前も結局、参加者か……」
「残念ながらまだ監督役を見つけられなくてね。教えてくれないかい? どうやったら聖杯戦争に参加できるのか」
「……」

 フロストノヴァは答えない。
 彼女はやがてビーストへ目を配る。

「お前、その少女は……?」
「何だよ」

 ビーストはちづるの前に手を伸ばす。フロストノヴァは目を細めながら尋ねた。

「戦士か?」
「……は?」
「そいつは参加者かと聞いている」
「ち、違えよ」

 今、ビーストが最も恐れていることは、フロストノヴァがちづるへも牙を向くこと。
 フロストノヴァはしばらくちづるを見つめていたが、やがてビーストへ目線を移す。

「……何をしている。早くそいつを逃がせ」
「え」
「お前も、そいつを守りながらだと戦えないだろう」
「あ、ああ……」

 巻き込むつもりはない、のだろう。
 ビーストはちづるへ向き直り、彼女の肩を掴む。
 ほとんど放心状態の彼女は、ビーストに揺さぶられることでようやく正気を取り戻した。

「一之瀬。悪いが、今見たこと聞いたこと、全部忘れてくれ。いいな?」
「わ、忘れ……」

 ちづるは言葉さえまともに返してこない。だが、ビーストがもう一度「頼む!」と懇願すると、狂ったように頷いた。

「分かったわよ……」

 ちづるは、この場の異能の力を持つ者たちを見比べながら、やがて背を向けて走り去っていく。
 だが。

「待て待て。折角だ。見ていけ!」

 パピヨンは逃げるちづるへ手を伸ばす。
 だが、彼の手から放たれた蝶
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ