”激唱インフィニティ”
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「フロストノヴァ……!」
「な、何この寒さ……?」
自らの腕を掴んで震えるちづる。
彼女へも目をやりながら、ゆっくりとビーストの前に立つのは、白いウサギの耳のような頭部が特徴の女性。
今回マスター探しのきっかけとなったフロストノヴァ。
「何でここに……!? 一之瀬ははマスターじゃないんだろ……ッ!」
フロストノヴァは、伸ばしたままの手を下ろすことなく、アウラを睨んでいる。
彼女の周囲に、避難を選択していない人はいない。おそらく、近くにはマスターはいないのだろう。
「少なくとも今は、単独行動ってことか……」
フロストノヴァの目は、じっとアウラを見つめている。
「お前が戦いを降りる気がないことなど明白だ。やはり、お前は気に入らない……」
「本当にあなたには嫌われたものね」
「……そして、お前もか」
フロストノヴァは目だけを動かし、パピヨンを睨む。彼女の視線に晒されたからか元からか、パピヨンは奇妙なポーズでフロストノヴァを受け入れた。
「ランサーにネクロマンサーそしてゲートキーパー……だんだん盛り上がって来たではないか……!」
「お前も結局、参加者か……」
「残念ながらまだ監督役を見つけられなくてね。教えてくれないかい? どうやったら聖杯戦争に参加できるのか」
「……」
フロストノヴァは答えない。
彼女はやがてビーストへ目を配る。
「お前、その少女は……?」
「何だよ」
ビーストはちづるの前に手を伸ばす。フロストノヴァは目を細めながら尋ねた。
「戦士か?」
「……は?」
「そいつは参加者かと聞いている」
「ち、違えよ」
今、ビーストが最も恐れていることは、フロストノヴァがちづるへも牙を向くこと。
フロストノヴァはしばらくちづるを見つめていたが、やがてビーストへ目線を移す。
「……何をしている。早くそいつを逃がせ」
「え」
「お前も、そいつを守りながらだと戦えないだろう」
「あ、ああ……」
巻き込むつもりはない、のだろう。
ビーストはちづるへ向き直り、彼女の肩を掴む。
ほとんど放心状態の彼女は、ビーストに揺さぶられることでようやく正気を取り戻した。
「一之瀬。悪いが、今見たこと聞いたこと、全部忘れてくれ。いいな?」
「わ、忘れ……」
ちづるは言葉さえまともに返してこない。だが、ビーストがもう一度「頼む!」と懇願すると、狂ったように頷いた。
「分かったわよ……」
ちづるは、この場の異能の力を持つ者たちを見比べながら、やがて背を向けて走り去っていく。
だが。
「待て待て。折角だ。見ていけ!」
パピヨンは逃げるちづるへ手を伸ばす。
だが、彼の手から放たれた蝶
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