第二章
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「そんなにまずい筈ないですよ」
「そうかな」
「じゃあ試しに食べてみたら?」
「彼女にお願いして」
「そうさせてもらいます」
それならと応えてだ、田中はチューズにお料理をご馳走して欲しいと頼んだ。それが趣味の彼女には願ってもないお願いだったので。
それで笑顔でそれならと応えて明日ティータイムの時に自分が作ったティーセットを持って来ると言った、そう聞いて田中以外の面々は引いた。
「ティーセットか」
「どれも酷いけど特にスコーンが」
「岩みたいに固いから」
「スコーンじゃなくてスコーンよ」
こう言うのだった、だが。
田中は次の日のティータイムを楽しみにした、そしてその時が来るとだ。
田中がミルクティーを用意して二人でティータイムを楽しむことにした、チューズは自分が作ったティーセット本格的な三段のバウンドケーキ、スコーン、クッキーを持って来たが。
そのどれもだ、岩の様なスコーンもだった。
田中は何なく食べた、そしてチューズに言った。
「美味しかったです」
「そう、じゃあこれからもね」
「機会があればお願いします」
「それではね」
二人で向かい合って座って笑顔で言葉を交えさせた、周りはその光景を宇宙人が会話しているかの様な目で見た、そして。
後日田中の話を聞いた、すると彼女は。
「無類の味音痴なのか」
「そして歯も胃袋も異常に強い」
「そんな人なのか」
「だから彼女の料理も平気か」
「イギリス料理も」
「それはまた凄いな」
田中のことをあまりにもと思いかえって驚嘆して語るのだった。
「世の中そんな人もいるんだな」
「イギリス料理それも鰊のパイや鰻のゼリーが美味いと言って」
「ハギスもそう言って」
「アイルランド料理もそう言う人がいるとは」
「チューズ女史の料理も美味しいって言って」
「岩みたいなスコーンも平気で食べる人が」
「世の中広いわ」
こう話すのだった、田中を見て。
以後も彼女はチューズの作った料理もイギリス料理も美味いと言って喜んで食べた、そして後にチューズの夫になるのだった。同性婚が認められてそうなってだ、夫婦で彼女の料理を楽しんだのだった。
固過ぎるスコーン 完
2024・5・21
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