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豊臣秀吉が異世界で無双系姫騎士やるってよ
第8話:あらゆる意味で足りない……
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オラウ(わたくし)の父上は……正に人の味を知り過ぎた熊でしたわ。
立ち塞がる敵を全て襲い、逃げる敵をしつこく追い回し、ただひたすらに前に進む……
こんな奴を誘き寄せるのに失敗する方が難しいわ!
しかも、父上が乗っている馬も物凄く恐ろしくて、倒れた敵をまるで雑草の様に踏み歩いていましたわ。
熊って死んだフリに弱いと聴くが、あれでは逆効果だな……寧ろ、ムソーウ王国(こちら)の評判が悪くなりそうで怖い!
父上(あれ)を本気で全力でなんとかしないと、マジでムソーウ王国はエイジオブ帝国に滅ぼされるぞ!
それに……
「やはり国王陛下は素晴らしい……やはり国王陛下と合流して―――」
「声が大きい!父上に豊臣秀吉(わたし)達の居場所がバレてしまうでしょ!」
ゴクリ……
……不味いな……
ヌードンの惨敗とそれを成し遂げた裏切り者によって萎えておったドウカァー達の突撃至上主義が、父上(あのアホ)のせいで息を吹き返しかけてる……よくない兆候だ!
上が馬鹿だと下が苦労するとばかり思っておったが、やはり上の馬鹿は下に伝染するらしい……滅びの常套手段じゃ!
「ん?」
「どうかしましたか?」
「あの白いの……今、笑わなかったか?」
「と言うか、あの白服は何なんです?ただ付いて行くだけで何もしない……意味が解りません」
……意味なら……ある!
豊臣秀吉(わたし)の見立てだと、あ奴らがエイジオブ帝国が用意した……裏切り者製造機!
あ奴らは突撃の連続で一般兵達が疲れるのを待ち、突撃を命じるだけの無能な上司への不満が溜まったところで甘い囁きで裏切りを促す……
ああ……(涙)
私達ムソーウ王国は、こんな子供騙しの様な作戦に敗ける程、クッソ弱かったんですね……
そこへ、アニマから更なる追い討ちの様な報告を受けてしまう。
「何?……いぇにちぇりが帰った?」
「はい。なんでも、もうイェニチェリの手を煩わせる必要が無くなったとか言って」
……なるほどね……
つまり、エイジオブ帝国は自分の十八番である接待戦法に邪魔な豊臣秀吉(わたし)を排除したかっただけの話ね。
が、そこへ父上(あのアホ)がやって来てしまい、この豊臣秀吉(わたくし)を突撃至上主義に引き摺り戻したと勘違いして、油断していぇにちぇりを下がらせたと……
どんだけエイジオブ帝国に馬鹿にされとんじゃムソーウ王国は!?
「……ま……あんなの魅せられたら、そこら辺の戦上手はそう思うわな……」

父上がどれだけの数の砦を落としたのか……数えるのを忘れていた……
ま、元々父上が落とした砦の数などどうでも良い話だ。
問だ!?
……父上がこちらを見た?
まさかとは思うが、熊は犬並みに鼻が良いと聴く。それってつまり……
「改めて見損なったぞ……オラウ!」
あー……やっぱりか
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