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Fate/WizarDragonknight
袋小路
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なったら教えてあげるッ! 趣味は人助けで好きなものはごはん&ごはんッ! あとは……」
「いいわよ。うるさいサーヴァントじゃない」

 アウラは響の自己紹介を手で制した。

「そう言えば、こういうのが人間の行う自己紹介だったわね……なら、私もした方がよさそうじゃない?」

 アウラは鼻を鳴らす。
 手にした天秤を揺らしながら、彼女は告げる。

「魔王直属幹部、七崩賢が一人、断頭台のアウラ。どうぞ、これから永遠に(・・・・・・・)よろしく」

 そして、彼女の天秤が緩やかに光を灯す。
 それはだんだんと広がり、彼女の足元のアスファルトに亀裂が走っていく。やがて地の底より這い出てくるのは、やはり今しがた響が倒したものと同列のゾンビたち。

「そしてこれは、私の今の配下たち。今日からあなたも、この中の一員になってもらおうじゃない」
「……」

 目を大きく見開いた響は、怯えるちづるを背中に回す。

「ほう……自らは前線には立たず、使い魔を主力に戦う参加者もいるのか……美しさはともかく、なるほど合理的だ」

 パピヨンは「ふむ」と顎をしゃくりながら、指を指す。
 すると、アウラの付近へ蝶が忍び寄る。それには当然アウラも目で気付いているが。

「面白い能力じゃない」

 そう告げるアウラの前には、首のない肉塊が盾となり、蝶の爆発を引き受けていた。
 粉々に消滅したアウラの下僕へそれ以上関心を示すことのないアウラは、背後に並ぶ首なしの者たちを一瞥する。

「元々いた世界よりは少ないけど、この世界で私が従えた(しもべ)たちよ。聖杯戦争の参加者も、大したことないのね」

 アウラは鼻で笑いながら、すぐそばの遺体の体を天秤で撫でる。

「それじゃあ、あの遺体は……」
「参加者、なの……?」

 響もまた、ビーストと同じく目を丸くしている。
 アウラの下僕たちが、それぞれの動きで歩こうとするたびに、ちづるが悲鳴を上げている。

「何なのあれ……首のない……死体……? ゾンビ?」
「……響。一之瀬を最優先で安全なところに連れていけるか?」
「ごめん、難しいかも」

 響が逃げようとする先には、すでにアウラが立ちふさがっている。袋小路側のパピヨンは、すでに蝶の翼を再展開しており、どちらに逃げようにも分が悪い。
 ちづるを挟み込むように、ビーストと響は背中合わせになりながら、ビーストは思った。
 今日の教授の手伝いは、ハルト一人に任せようと。
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