第二章
[8]前話
「何処がわかりにくかでごわす」
「わからん方がおかしかでごわす」
「というか昔はもっとわかりにくかったでごわす」
「こんな訛りじゃなかとよ」
「そうでごわすな、何かでごわす」
時子は考える顔でさらに言った。
「何で皆わからんかと」
「大阪の人達は困るとよ」
「こげな簡単な言葉がわからんでごわすか」
スマートでダンディな父も娘によく似た顔立ちで黒髪をロングにしているスタイルのいい母もいぶかしんだ、兎角だった。
時子は両親と共に鹿児島弁を喋り続けた、周りは彼女が鹿児島弁以外は問題ないと思って普通に付き合っていてだった。
鹿児島弁にも慣れた、だがその中で。
時子も変わった、普通にだった。
「何か私関西弁入ってきたわ」
「大阪におるからね」
「やっぱりそうなるで」
「周り全部大阪やし」
「時子ちゃんよお吉本の番組観てるっていうし」
「そうなるで」
「新喜劇とか観てたら」
時子自身もこう言った。
「ほんま関西弁ばかりやし」
「自然となってくやろ」
「関西弁に」
「それが入って来るやろ」
「そうなるわ、鹿児島弁ばかりやったのが」
それがというのだ。
「ほんまな」
「変わるやろ」
「そうしたもんらしいで」
「その場所におったらそこの方言になるで」
「自然と」
「そやね、もう関西弁の方が強いわ」
家に帰ると両親もそうなっていた、そしてそのまま大学まで大阪にいて完全に関西弁だったが就職して結婚するとだった。
夫の仕事先が鹿児島なのでそちらに戻った、するとすぐに鹿児島弁に戻った。そして言葉はその場所によって変わるもので人間も入ればそうなるとあらためて思ったのだった。
鹿児島弁の女の子 完
2024・5・16
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