閑話3 きれいな戦慄 【第100話記念】
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研究科側にとってみれば、完全なアウェー状態。まさかこれほどの大事になるとは考えてなかったからセコンドもギャラリーも三〇人ほどしかおらず、肩身を狭くしている。さらに言えば……
「第二学生寮に居る情報分析科から、ジェイニーの相手の詳細が届いてるわ」
フレデリカはそう言うとブライトウェルの前で、両開きタイプの端末を起動させる。画面には、作りが極めてゴツイ白人候補生の顔とその候補生の成績が映し出されている。明らかに職員関係者限定の機密情報。それが第二学生寮に居る情報分析科からフレデリカの手に届いているということだけで、相手の立場や状況については三人とも理解していた。
「アントニオ=テラサス=マンサネラ三回生。戦略研究科。身長一八九センチ・体重九七キロ。陸戦戦技評価はA−四。意外と高評価ね。ジェイニー、貴女はまだだったかしら?」
「まだですね。来月中間考査があります」
「……まぁ、大怪我だけはしないでね。じゃないと、兄さんに面目が立たないから」
自分の評価がA−三だったことを思い出したアントニナは、大きく溜息をついた。舎長からはそう分は悪くないと聞いてはいたが、同時に過度に痛めつけられるようなことがあったら助けに行けとも指示されている。幾ら色紙の代価とはいえ、装甲服もつけずに突っ込んで助けにいくことはアントニナでも自信がない。だが目の前のブライトウェルはまるで気にすることなく二本の打撃訓練用トマホークを両手でもてあそんでいる。
「随分と自信がおありのようね。ブライトウェル一回生」
アントニナの声に厭味の成分が混じっていることは言った当本人も分かっていたが、ブライトウェルはまったく気にすることなく、左手に持っていたトマホークをアントニナに返して応えた。
「戦艦リオ・グランデに乗ったつもりで見ててください」
「……ごめん。私はアイアース級に乗ったことないから、その例えじゃわからないんだけど」
「……すみません。ですが素晴らしく広くて、船体も安定してていいですよ。一度乗ったらもう普通の戦艦には乗りたくないって思うくらいに」
それじゃあ行ってきますと、右手に持ったトマホークを肩にかけ、左手にヘルメットを持ちブライトウェルは背を翻してステージの中央に向かっていく。その如何にもこなれた、それでいて凛とした後ろ姿を見つめながらアントニナもフレデリカも頬に手を当て小さく溜息をついた。『頼まれて彼女の面倒を見ることになったけど、本当に必要なのか』と思いつつ。
後ろでそんなふうに同い年の先輩に呆れられているとも知らず、ブライトウェルはステージの中央で、相手とレフリー役のフォレストと向き合った。聞いた通り、相手は頭一つ大きく、体の厚みもブライトウェルより三廻りは大きい。
だがディディエ中将よりも大きいにもかかわらず、体から
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