閑話3 きれいな戦慄 【第100話記念】
[7/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ら、自分に陸戦経験があることをフォレストは承知した上での問いかけたのだろうと。
「前線配備の陸戦部隊新兵と、第二学生寮の戦略研究科の腕扱きでは、どちらが上手でしょうか?」
「判断が難しいところだね。訓練量と実戦経験を比較しても、それほど差はないとは思うけどね」
「じゃあ、大丈夫だと思います」
エル=ファシル奪回作戦以降、戦闘時や訓練などの繁忙時以外で、ディディエ中将やジャワフ少佐から与えられた訓練メニューを欠かしたことはない。カプチェランカでは新兵相手のワンサイドタッグマッチを勝ち抜いた。それに大切な人は素手で半個分隊ならば十分叩きのめせると言ってくれた。その経験と信頼が自信に繋がる。
「第四四高速機動集団と第五軍団の名誉にかけて、『ステージ』に上がった奴らを叩きのめしてごらんにいれますよ。『サマーガール』先輩」
◆
「アンタが今も息をしているだけで、もう胸がいっぱいいっぱいだわ……」
士官学校の敷地の中でもやや外れにある陸戦技術科の校舎の中に複数ある、装甲戦闘服用の戦技訓練施設通称『ステージ』の一つで、女性専用に誂えた装甲戦闘服に身を包んだブライトウェルを前にして、アントニナは肩を落とした。
舎長から事態を聞いたのが三限後の休憩時間。五限終了後までにフレデリカを含めた女子同期生やつながりのある女子運動部の面々、それに薔薇舎の一回生に連絡してかき集めて(相手方がウソを吹聴しないよう証人としての)応援団を作り、はるばるここまで連れてきた。彼女たちの大半が情報分析科や後方支援科や法務研究科であり、まずもって陸戦技術科の敷地に入ることはカリキュラムにおける最低限の訓練以外ではないから、みんなほとんど物見遊山のノリだ。
「まぁ、フォレスト四回生が色々用意してくれているから、結果以外は心配しなくてもいいと思うけど?」
元々は同級生でもあるフレデリカはアントニナの横で、『ステージ』の設備に張り付いているフォレストやその同期と思われる陸戦技術科の候補生たちの姿を見て呟いた。
『ステージ』はあくまでも訓練設備であり、ある程度の気象・重力条件を疑似環境として作ることができる。だからこそ『戦闘訓練中』に自陣に優位になるような変更をさせないよう、フォレストの同期達がぎっちりと筋肉の壁で制御装置の周りを固めている。
その上、圧倒的に女子率の高いセコンドギャラリーの登場に、ほぼ男しかいない陸戦技術科のボランティアの士気は異様に高まった。どこからともなく足場材を集めてきて、ステージの周りにスタンドを組み上げて茶菓子まで振舞っている。何しろ陸戦技術科の『姫』であるフォレストの舎の後輩が、いけ好かないエリート臭漂う戦略研究科の男を相手に戦うとあって、四回生から一回生までノリノリだ。
そしてそれは戦略
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ