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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
閑話3 きれいな戦慄 【第100話記念】
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きつぶした。

「それまで」
 マンサネラの後ろ首に当てられたブライトウェルのトマホークの柄に手を乗せ、フォレストが宣告する。
「腹部損傷、脊椎断絶、頸部切断。即死だよ。マンサネラ三回生」
「あ、うぁ……」
「あ〜強撃サンドイッチ喰らっちゃったもんね。そりゃ喋れないか。わかったわかった」

 フォレストが右腕を上げて肩の上で廻すと、陸戦技術科の候補生が担架を持ってきて、うめき声を上げるマンサネラの巨体を乗せてステージから降ろしていく。

「勝者、ジェイニー=ブライトウェル一回生!」

 ブライトウェルの右腕をぐいと引っ張り上げたフォレストの大声に、スタンドの黄色い歓声が一気に湧き上がる。それに合わせるように陸戦技術科から拍手と野太い喚声が上がった。
 一方でマンサネラ側のセコンドに集まっていた戦略研究科の一団は、目の前で見せられた瞬時の出来事についていけず呆然としていた。真横を担架で運ばれるマンサネラの巨体を見てようやく負けたことに気が付くくらいの者もいる。

「さて、戦略研究科の候補生諸君」
 フォレストはセコンドの位置で動けなくなっている彼らの前まで移動して言った。
「せっかくの機会だ。君達も戦技訓練を受けてみてはどうかな?」
「いや、我々はこれで失礼する」
 一番の腕扱きのつもりで連れてきたマンサネラが一瞬で撃破された。ブライトウェルが尋常ならざる陸戦技術を持っていることを知った以上、長居は無用。一団の指揮官というべきルングが手を上げて断ったが、その前に一団の周りには筋肉の壁が出来ていた。
「どういうつもりですか。フォレスト四回生殿」
「どういうつもり?」
 顔色の変わったルングの問いに、フォレストは首を小さく横に傾けてると、笑顔で答えた。
「第五軍団ディディエ中将閣下の『王女殿下(プリンセス)』に対し、あらぬ疑いと言われなき侮辱を与えた馬鹿共に、陸戦とはいかなるものか教えて差し上げようというつもりだよ。ルング三回生殿」
「彼女の疑いは晴れた。こちらとしても改めて三名について再調査するつもりです」
「その前に王女殿下に自らの非礼を詫びたらどうかね」
「……これは戦略研究科内での話です。陸戦技術科の関与するところでは」
「安心したまえ、蛮族諸君。言葉の通じない君達の分の『正装』はちゃんとこちらで用意してある」

 フォレストが右手で合図すると、筋肉の壁の一部が開き、大型のトランクが人数分、ルング達の前に並べられる。ガチャガチャと蓋が開かれれば、そこにはクリーム色の装甲板とワイヤーと耐火耐熱断熱素材でできた『タキシード(装甲戦闘服)』が収まっていた。

「さぁ諸君、着替えたまえ。『王女殿下(プリンセス)』は『舞踏会の間(ステージ)』にて諸君の到着を、首を長くして待っておられるぞ?」

 そう
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