爆発しろ
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やにやした笑みを浮かべながら、頬杖を突く。
すると、祐太は恥ずかしそうにモジモジしながら答えた。
「い、いい人だよ。色々とぶっ飛んでるけど、ひな……あ、姪っ子たちのことも可愛がってくれてるみたいだし。まあ、この前ははぐれたからあんなことになったんだけど」
「まあ、仕方ねえところもあるよな」
コウスケは相槌を打つ。
「で? 誰なんだ、お前の彼女って。オレが知ってる人か?」
「知ってると思うぜ? ほら、か……」
「見つけたわよ!」
これから詳細を聞き出そうとするその時、突然の横からの声に、コウスケは跳び上がる。
見れば、灰色が多い大学生たちの中から、華やかな色合いがこちらへ走ってくるではないか。
その姿を目にした途端、コウスケは口をあんぐりと開けて祐太へ確認する。
「お、おい祐太……まさか、お前の彼女って……」
「ああ。知ってたか。そう、まさかだよな……」
彼のその反応を、肯定以外として受け取ることは難しい。
こちらへ走って来た、華やかな色合いの女性。ウェーブのかかった髪に、間違いなくブランド品のトートバックと、彼女の衣装代だけでコウスケの月額生活費が飛んで行きそうな外見の眩しさに、コウスケは思わず目を細めた。
「か、加賀香子じゃねえか!」
「流石に知ってるよな……」
加賀香子。
その名を知らない者は、この大学にはいないだろう。
見滝原の外にある大きな病院を経営している家族の者らしく、生粋のお嬢様ということだろう。
「何でお前みたいなパッとしねえ奴があの学部一の美人と付き合ってんだ?」
「パッとしないってひどいな……」
苦笑いを浮かべる祐太。
その間にも、そのお嬢様な香子は祐太の隣に腰を掛け、その腕にしがみつく。
「うふふ……」
「しかもめっちゃ熱々じゃねえか」
香子はまるで見せつけるかのように祐太の腕に抱き着いており、見ているだけで血糖値が上がるような感覚がコウスケの口内を支配する。
やがてコウスケの存在に気付いた香子は、パチパチと瞬きをしながらコウスケを見つめた。
「……」
「よ、よお……加賀」
「ああ! 久しぶりね! えっと……確か……」
香子はしばらく静止したまま、やがてコウスケの名を言い当てる。
「高田くん」
「違うな」
「田中くん」
「もはや田しかあってねえじゃねえか! ヒントは二文字」
「二文字……加賀くん……?」
「いやそれむしろお前の苗字じゃねえか!」
コウスケのツッコミに、吹き出すのは祐太ただ一人。
香子は眉を八の字にしながら、「うーん……」と唸っている。
「……正直に忘れたって言ってくれ」
「ごめんなさい。何だったかしら?」
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