第二章
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「ありません」
「そうなのだな」
「私の愛と言えば」
「多くの者と楽しむものだな」
「そして豊穣をもたらす」
「そうだな」
「あの夫婦からも豊穣はもらたされますが」
夫婦の愛からというのだ。この言葉は彼女が豊穣の女神であるからこそ出した言葉であることは明らかだった。
それでだ、イシュタルはマルドゥークに対してさらに言った。
「ですが」
「ああした愛はだな」
「夫婦だけの。多くの者と交わっての愛が私の愛なので」
「どうしてもだな」
「違うとです」
その様にというのだ。
「重い出る幕もです」
「ないな」
「はい、ですが応援はします」
マルドゥークに彼と向かい合って食事を摂りつつ話した。
「それは」
「そうするな」
「そうします、そして」
そのうえでというのだ。
「彼等の愛が永遠にです」
「続くことをだな」
「願っています」
こう言うのだった、そして夫婦の応援者であり続けた。
それは今も続きイシュタルは友人の女神に言うのだった。
「相変わらずな夫婦ね」
「ナブー神とタシュメート神は」
「ええ、二柱共穏やかで優しくてね」
「大人しい性格ね」
「私とは正反対にね」
恋多くそして戦の女神でもある自分のことも言った、
「そうだけれどね」
「それでもなのね」
「その愛情は強く深くてね」
「夫婦の絆もよね」
「確かよ、そうした性格でもね」
夫婦共というのだ。
「それでもね」
「愛は深く強いわね」
「そして熱いわ。昔もそうで」
「今もよね」
「まさに永遠の愛よ。その愛をね」
イシュタルとしてはというのだ。
「応援させてもらうわ」
「そうしていくのね」
「ええ、ずっとね」
こう言ってだった。
二柱の夫婦の神々の結婚記念日へのプレゼントは何かと話した、イシュタルは奇麗なドレスを贈ったがそのドレスをナブーは妻に自ら着せたことは言うまでもなく愛の女神はそれを聞いて笑顔になったのだった。古来から居間も変わらない二柱の夫婦の神々のことを想って。
大人しい神の愛 完
2024・1・15
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