第一章
[2]次話
告白の練習
渡辺修一、高校生で黒髪をショートにしていてきりっとした顔で面長の顔に小さな唇を持ち一七〇位の痩せた彼は今悩んでいた。
その彼を見てだ、幼稚園からずっと一緒の幼馴染前田公佳胸がやけに目立ち黒髪をボブにしていてあどけない大きな目とピンクの小さな唇と大きな耳を持つ彼女が聞いてきた。
「何か悩んでる?」
「何もないと言ったら信じるか?」
「全くそうは見えないわ」
これが公佳の返事だった。
「はっきり言ってね」
「だから言えって言うんだな」
「幼稚園からずっと一緒でお家も近くでしょ」
公佳は修一にこう返した。
「よく一緒に遊んだし」
「それでか」
「もうね」
それこそというのだ。
「何でもお話してみてよ」
「悩んでたらか」
「私でよかったらね」
「じゃあ行っていいか?」
クラスの自分の席のところに来た公佳に言った。
「そうしても」
「何でもね」
これが公佳の返事だった。
「言ってみて」
「それじゃあな」
修一もそれならとなった、見れば修一の制服はダークグレーの詰襟である、通っている八条学園高等部の制服の一つだ。公佳は赤のブレザーと青のミニスカートと緑のリボンだ、白いブラウスで脚はハイソックスに覆われている。
修一は公佳を校舎の屋上に連れて行った、そこで話した。
「実は三年のトルストヤ先輩に憧れてるんだよ」
「あのロシアから留学してる」
「そうなんだよ」
「あの人奇麗だしね」
公佳もその人を知っていて頷いた。
「それもかなり」
「それでクールでいてな」
「お嬢様でね」
「優しいところあるからな」
「性格いいそうね」
「それでな」
公佳に俯いて必死の顔で話した。
「今度あの人に告白しようってな」
「思ってるの」
「けれどな」
それでもと言うのだった。
「肝心のな」
「告白の仕方がなの」
「どうしてもな」
それがというのだ。
「わからなくてな」
「悩んでるのね」
「告白する勇気もな」
これもというのだ。
「なくてな」
「それでなのね」
「どうしたものかってな」
その様にというのだ。
「本当にな」
「じゃあ練習したら?」
公佳はそれならと修一に返した。
「告白の」
「練習かよ」
「何でも練習したらね」
そうすればというのだ。
「出来るものでしょ」
「部活でもそうだよな」
「あんた水泳部よね」
ちなみに公佳は歴史研究会である、所謂歴女なのだ。
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