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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー
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が滲み出てきていた。戻れ 戻れ! って別の私の声がしたのだけど・・・家に帰っても、部屋にこもって泣いていたのだ。

 私って 本当にバカ! 変に、見栄っ張りなのだわ と、後悔だけで・・・どうして、あの時、可愛く笑って 本当は、あなたとお付き合いしたいの って言えなかったんだろう。だって あなたが悪いのよー ほったらかしにしたから・・はっきり 私に言ってくれないんだものー。

 私 あの人が何をやっているのか 聞いていない! あんなに、陽焼けしているんだから、グラウンドなんだろうけどー 精悍そうで、だけど、口ベタで・・・でも、実直そうな感じがする 私はあの人のことが好き! 誉さんは、優しそうなんだけど、何となくネチネチしているみたいで・・・ 私もハッキリしない狡い女なんだと思っていた。「ま お り ーーー だめよー 連れ添っていかなければ・・・」と誰かが言ってくる・・・

 夕方になって、仕方なくご飯の用意をしていたら、お母さんが帰って来て

「いつもありがとうネ あらっ マオ 眼が赤いネ 熱でもあるの?」と、額に手を当ててきたけど

「ふ〜ん 熱は無いみたいネ ・・・泣いてたの?」

「うっ 違うよー ちょっと うたた寝してたからかなあー」

「そう 夏だからって いい加減に寝てると風邪ひくからネ 気をつけなさい」

「ねぇ お母さんは どこでお父さんと知り合ったの?」

「なによ! いきなり ・・・ 高校出てね 銀行に勤めたの 京都まで通ったワー 2年目ぐらいに 先輩からお父さんを紹介されたの その時はね 一流企業の技術者でね 同期の中でも有望株だって聞いていたからー 今は、営業みたいなことやっているけど お母さんの方が、乗り気になってしまって 追いかけたみたい でも、お父さんも悪い気はしてなかったみたいなのよ! あの人 京都に一人でマンションだったのよ お母さんは、この家から通っていたでしょ 遠くってね 電車もお天気次第でよく止まるしー それでね 帰る時になって、電車が止まっているってわかって お父さんのとこに泊って 覚悟して行ったのよ ・・・それからは、ズルズルとね 週のうち3.4回は泊まるようになって 半分同棲よ そのうち お母さんから無理やり結婚を迫ったのよ 近所のとこに嫁に来いっ言われてるからーこのままだとって 今から考えると脅迫だよね」

「わぁー 積極的ぃ〜 お母さんって情熱的なんだねー」

「ふふっ 若い時はね それに、早く お嫁に行きたかったからー この田舎じゃぁねー ヘタしたら、この辺りの農家の嫁よー」

「ふ〜ん なんか 不純」

「そんなことないわよー お父さんを愛していたからー」

「へっ 今でも?」

「なっ そうよーぅ 一応 やっぱり マオ 熱あるん?  変よ!」
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