暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第三部 1979年
姿なき陰謀
如法暗夜 その2
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
できれば、無敵の武器を持つことになる」
「無敵の武器?」
 これは誘い文句だった。
案の定、興奮していたマサキは、引っかかった。
「フフフフ、今からの時代、情報というのが一番の武器さ」
「えっ」
 わざと意味ありげな表情をして、問いただした。
マサキが食いついてきて、説明してくれると踏んだからである。
「この世界を揺るがす、極秘情報さ。
そもそも、ユングとかいうマタ・ハリに目を付けたのは、この情報があったからさ」
 ミラは、マサキのペースに乗っていると思っていた。
この美人妻は、俺の協力者。
そう確信したマサキは、さりげなくユングの持ち込んだ秘密の解析計画に関することを話した。
「この管制ユニットに組み込まれた機密情報は、戦術機開発メーカーの裏にいる銀行家や国際金融資本の利益の源泉や、陰謀の一部に繋がっている。
マライからその話を聞いた俺は、秘密の一端を暴く武器になる。
そう見立てて、この情報の解析を急いだ。
この機密は、いわば、敵を壊滅させるミサイルだ。
それを発射するための砲台が、必要になってくる」
「分析するにも、肝心のスーパーコンピュータは?」
「ただし、俺たちには、自由にできるスーパーコンピュータがある」
 その時、ミラの手は、マサキの背中に置かれていた。
そして、肩に向かって撫でさすりながら移動していた。
「ゼオライマーに搭載された、スーパーコンピュータかしら」
 その言葉を聞いたマサキは、途端に振り返る。
いつにない、驚愕の色を見せ、ミラをねめつけた。
「何故、それを!!」
 思いがけない言葉であったのであろう。
マサキは、唖然(あぜん)とした表情で、ミラを見た。
「私は、F‐14の設計技師の一人よ。
飛行制御用デジタルコンピュータの開発や設計経緯は、詳しくハイネマンから聞いているわ。
セントラル・エア・データ・コンピュータの事を考えれば、それくらいは判りますもの」
 ミラは、露骨な言い方をし、それとなくマサキの動揺ぶりを盗み見た。
驚愕しているのが、手に取るようにわかる。
「……」
 淡々とミラが推論を話しているときに、マサキの気はそぞろだった。
余りにも、実際と同じをミラが言ったからである。
 先ごろ生まれたばかりの、子息・祐弥(ユウヤ)の件で仲間に引き込んでいなかったら……
彼女に渡した、八卦ロボの資料の秘密をぶちまけられていたかもしれない。
そう思うと、率直にミラを計画に引き込んで良かったと、胸をなでおろしていた。
 そして今回の件は、ミラを油断のならない女技術者と思いはじめたきっかけでもあった。
 
 現実世界のF-14でも、最新鋭のマイクロプロセッサーが搭載されていた。
 F‐14には、専用の外気情報処理機(エア・データ・コンピュータ)が標準装備さ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ