暁 〜小説投稿サイト〜
帝国兵となってしまった。
32
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れを喜び人が平時で沢山死んでいくだろう。互助すら出来ずに個人利益を追求する社会の形成が行われるのだ。やがて共同体社会の再発明がされるかもしれないが‥‥見た目だけが正しいのならばそれを発展だと言い切れるだろう。だが、それが幸福かは誰にもわからない。精神の貧しさから来る枯渇を物資で補おうとすれば地上の物資をいくら使おうとも満足しないのさ。だから、植民地が必要なんだよ。そんなことをしても意味はないのに。人類にはいちばん大事なものがある。」
 長々と話していて疲れてきた。俺は話をまとめるのが下手なんだろうな。なんでいつもこうなるんだろうか?一般人である俺はそう考えざる得ない。だけれども、あのときに銃を、戦いをしてしまった俺だから仕方がないのかもしれない。

 「その“いちばん大事なもの”とは?」
 聞かれても困るだけだ。そんなものは俺には分からないだけど‥‥。それでも世界が変わらないのならば‥‥例えばそれがだいじだと言えるのは‥‥。

 「そう、心だ。見ろこの街にこの星に、広がる世界の各地にも届かないところにもそれはある。一番身近な手の届くところに星々が、こんなに輝く星が地上には広がってるのだから。ならば、少しだけ星を思う気持ちがあれば、星を願う気持ちがあればきっと星は誰の中にも例えば頭の中にも身体の中にも宇宙がある筈さ。そこに何万もの星がある。それを守るのが我々なんじゃないのか?」
 俺はそれを言うとあまりのポエムに恥ずかしくなり、もう一度見た窓から目線を外す。そして、少佐に案内を促した。

 「小官はグラーフ・フォン・シュタッセンベルクと申します。」
 自己紹介を軽くされたので「いい名前だな。」と当たり障りもなく答えておいた。それにしてもまるでこの少佐は歩いてるというより歩幅で距離を測ってるようにも見える。

 無言で二人で歩く。少し恥ずかしいがもう扉は目の前だ。少佐が扉の前にある受話器をとった。
 「閣下、ジシュカ准将をお連れしました。」
 そうしてから、少佐が扉を開くと俺は部屋の中に入った。

 「あぁ、やっときたかジシュカ。君には大任がある。即応軍の司令官がモーゼル中将と参謀長がロメール少将と決まったのだが、即応部隊の航空魔導歩兵の司令官が足りないわけだ。何か意見はあるかな?自薦でも構わないが。皇帝陛下も認めてくださるだろう。陛下は君のことをよく朕のキンチェムと呼んでるからな。」
 相変わらず双頭のマークのタバコを吸いながら聞いてくる。後ろに見慣れない副官がいる。新しい人材なのだろうか?

 「ジシュカ、気にするな後ろにいるのは、副官のへインツ・ヴラント少佐と宮殿警備隊司令のレーマン中佐だよ。形勢が変わらない限りは信用できる。それはそうとだ。誰かいないかね?」
 これは多分、自薦しろという圧力だろうが、俺にもちゃんと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ