最終話 閃光のハサウェイ
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品の実用化を推し進め、火星には何個にも及ぶ惑星軌道エレベーターをつくり、火星の奇跡と呼ばれるほどに経済を復活させた。
俺はというと大統領を辞めたかったので、地球連邦政府の強権を弱め、サイドに自治権を与え、地球上に旧国家群を復活させた。それにより支持率の低下を狙ったのだが、逆に支持率は上昇してしまった。何をしても裏目に出る。
最後ではあるが。
宇宙世紀133年、オリヴァー・マイの書いたマフティー・ナビーユ・エリンという本が映画化をされて上映された。そして、寂れた木星の映画館に俺は居た。
「与太話の映画だよな。」
どれもこれもトンデモだ。だが、事実である。地球連邦政府は太陽系連邦政府に変わり、今の大統領はなんとハサウェイ・ノアだ。ブライトは堅物すぎるのか政治家としては大成しなかったが、彼の開いた喫茶店は様々なパイロットや艦長たちが訪れ、一種の博物館のようになり、アルベルト・ビストの手助けによりチェーン化に成功したようで、アルベルトは再び起業家として大成した。
「まぁ、悪くない人生だったかもな。」
俺ももう60近くだ。そして隣にある男がいた。
「この時と立場が逆になりましたね。マフティー大統領。」
ハサウェイがそう言ってきた。全く。
「だが、俺もお前も変わらないだろう?ニュータイプに憧れただけの存在さ。ある意味、ジオン・ズム・ダイクンの原理主義者だったのかもしれない。だからこうやって、俺たちは政府への生贄になったんだろう。」
知らないけど。
「それも悪くはないでしょう。こうして平和にもなった事ですし。バナージたちもあなたに会いたがってましたよ。それに‥‥ある備忘録が出ていましてね。」
備忘録?なんだろうか、嫌な予感がする。
「ダンスマフティーの正体も、武装マフティーの正体も貴方だったんですね。だから俺はあなたにマフティーとは何かと聞けたのかもしれません。」
はぁ?お前、今とんでもない事を言ったぞ!せっかく俺は木星の暮らしを立て直すとして、太陽系連邦政府の大統領を辞めれたのに、それでは‥‥。
「だから最後に聞きます。貴方の正体は?」
そこまでは書いてなかったのか。俺は悩みながら口から言葉を発した。
「俺の正体はな‥‥」
それは木星の映画館のスクリーンの喧騒に飲み込まれたが、ハサウェイはその劇場の閃光に照らされて満足げな顔を浮かべていた。
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