暁 〜小説投稿サイト〜
IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
空の支配者
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が襲い掛かる。
 しっかり準備していたつもりでも手と足が後ろに流されそうになるのを必死に耐える!
 ISでは急旋回によるGは感じても意識が飛ぶことはない。だからこそ……痛い!

 今までに感じたことのない重さが体中にのしかかり、体中の骨や筋肉がギシギシと音を立てているのが分かる。

「こ…の加速……は!」

 きつい、ですけど!

―『ワンショット・ブースターV,W』起動準備、『ワンショット・ブースターT、U』臨界点まで0,2秒―

「まだ……まだぁ!」

 もう一回!

―『ワンショット・ブースター1、2』臨界点。『ワンショット・ブースター3,4』起動、点火限界時間3秒―

 その表示通り、追加されていた翼の左右二つ平行翼のブースターが切れ、その瞬間には後進翼に搭載された巨大なブースターが発動する。
 終わりかけていた加速が更に追加され、翼2つの燃料分軽量化したISは先ほどよりも更に高い速度をたたき出す。

「ぐ、が!」

 あまりの衝撃に言葉が出ない。現在速度……時速6520km………!
 この域は経験したことがない未知の世界。あまりの速度に自分の視覚が狂っているのが分かる。超高感度センサーさえ間に合わず未だに周囲の空に浮かぶ雲や眼下の海がゆっくりとスロー再生のように後ろに流れていく。

―『ワンショット・ブースターV,W』臨界点―

 ようやく、と言ってもわずか数秒のこと。福音を完全に引き離した私の体が徐々に通常のISの速度へと戻っていく。背後の翼、全ての『ワンショット・ブースター』から真夏の昼間にも限らず熱量による湯気が大量に発生して、巨大な音を立てている。

「はっ! ……はっ! ……はっ!」

 今まで無意識に止めていた呼吸が速度が落ちることで戻ってくる。圧迫していた胸がゆっくりと解除されて肺にたっぷりと空気が入ってくるのを感じた。
 体中の汗が止まらないし、全ての骨と筋肉がギシギシと未だに悲鳴を上げているけど、うん、異常なし。少し休めば大丈夫なはず。

『カルラさん!』

 間近で聞こえた声に顔を上げるとセシリアさんがこちらに飛んでくるところでした。
 
「一夏さんたちは?」

「まずは自分の顔色を見てから仰ってくださいな」

 セシリアさんが呆れながら私の右手を取って引っ張ってくれる。どうやら相当な顔をしているらしいですね、私は。

「一夏さんは現在治療中とのことですわ。箒さんも無事。これで大丈夫ですわね?」

「はい、ありがとうございます。あ、そう言えばあの密漁船は?」

「私も帰還したわけではないのでそこまでは……」

「そうですか」

 見知らぬ人とは言え、無事だといいんですけど……

 帰還後、密漁船は福音によって破壊されたと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ