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不可能男との約束
勇気の玉砕
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するのは解っていたので、ただ俺は浅間に言うだけだった。

「頼むわ」

『……ああもう。貴方達姉弟といい、シュウ君といい、本当に人の話を聞かないんですから……』

その言い方からちょっと怒ってると思ったが、黙る事にした。
だって、浅間。
俺、馬鹿だからよ。こういう風に思った事を直ぐに言うしかしないんだよ。
でも、それは皆も解っているだろ? 俺が底抜けの馬鹿だっていう事くらい。だって、お前らは出来るからさぁ。
だから

「出来ねえ部分は俺の領分だろ?」

だから、浅間からの契約認可を受け、そして最後にこう言われた。

『トーリ君……これから貴方がもし、悲しみの感情を得たら加護の反発としてその穢れた全能力を禊ぎ消失します』

そのリスクを背負う代わりに

『トーリ君の全てを皆に伝播し、分け与えることが出来るようになります』

その言葉を何時もの笑顔で受け止め、そして空中で構える。

「行くぜ、俺達!」

効果は劇的だった。







「何……」

ガリレオは目の前の光景のおかしさに気付いた。
排気を失ったはずの武蔵の学生達が防御系の術式などを使って、K.P.A.Italia戦士団を吹っ飛ばしているからだ。
内燃排気が急に回復した? 不可能だ。そんな簡単に回復するような物だったら、無くなっただけでこちらが有利不利などとは叫ばない。
神道の代演か? それもおかしい。
そんな事はとうの昔にやっているはずである。それも限界に近づいていたから、こちらの勝機だという事になっていたのだから。
ならば、原因は何だと周りに目を向けてみると、何か武蔵の連中には何か光が繋がっているように見える。

「流体光……」

あれが武蔵の学生達に排気を供給しているという事は解った。
だが、その供給源はどこから……。
そう思い、光の元を探して、上空を見ると───武蔵総長の背から、流体光の光の尾が大量に出ていた。

「伝播術式……?」

K.P.A.Italiaの周りの学生も気づいたのか、その光を見ながら呆然とした表情でそれを見ている。
伝播術式。
ならば、供給する手段の方は理解した。
だが、やはりおかしい。不可能男という字名を受けているとはいえ、多少の内燃排気を持っているというのは別におかしくないが、それでも、ここまでの人数をカバーできるはずがない。
ならば、何故とそこで思考を更に深める。
そして、数秒で応えに辿り着いた。
そういえば、彼は臨時生徒会の時に武蔵のヨシナオ王に、王座を譲ってもらう事をせがんでいた。
結局、最終的にホライゾン姫と同様に副王になっていたが、それでも武蔵総長には重過ぎる立ち位置だとは思ったし、何をしたいのだと思ったのだが

「そういう事か……!」

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