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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
困憊するあたしは、奴らを逃がす
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り昂っておられ」
「黙れェッ!!!」

その生意気な面を殴られる。
あまりの威力に抉れる頬。
しかし道満は動じることなく、抉れた場所から歯茎を覗かせながら微笑んだ。

「貴様!貴様!貴様ァッ!!!」

ここからでも分かる。
アタランテはただひたすら道満を殴る、殴る、ただ殴る。

「アタランテ殿、少しょ」
「貴様はッ!!子供をッ!!なんだとッ!!」

殴られる度に顔が削られ、形を崩していく。
バーサーカーのアタランテはそれでも殴り続け、殴れる頭が無くなると今度は胸ぐらを引っ掴んで背負い投げの要領で地面に叩きつける。
砕ける瓦礫。へこむコンクリの地面。

彼女がどれだけの怒りを込めているのかは嫌でも分かった。


「フーッ…!フーッ…! 」

動かなくなった道満。
まだ興奮して息の荒いアタランテは最後に奴を思い切り踏みつけた。

あまりの強さに道満の身体を踏み抜き、奴は塵となって消える。
だがしかし

「手応えがない…知らない間に変わり身とすり替えたか…!」

死んだのは道満ではない。
そこにあったのは一枚の御札。
隙を見て入れ替えたか、それとも元からここに彼はいなかったか。

「…!!」

ならあっちは?真誉はどうだと視線を戻してみると

「いない…!」
「目を離した隙に逃げられたようだな。」

ほんの一瞬。
その刹那の間に彼女はどこかへと逃げ出していた。

「勝ち逃げ…だろうな。」

大和さんがそう呟く。
確かにそうかもしれない。

結局トドメは刺せずに逃し、子供達は無事では無いし、よく分からないが呪いの養分≠ニなって魂も消えた。

負けだ。
あたしたちの。
完敗だ。

「……。」

自分の掌を見る。
何も救えなかった手。

そもそも

お前は香子からなにか貰った?愛されてるのはどっちだろうね?


この手は、
この身体は、
誰のモノなのか。


もう、
自分にもだんだんと分からなくなってきている。




?



「貴様の、せいだと…?」
「ああ。」

後日談。
日を改め、落ち着いてから今回の件について話をする。

アタランテに関してだけど、やはり子供の数がわずかでも少なくなっていることに違和感を抱いていたらしい。
それでシェヘラザードさんが何か隠し事をしているのを見抜き、問い詰めたら事がバレた、とのこと。

子を攫い、殺し、悪霊にさせ、さらには呪いの養分とやらにさせられた。

子は宝。いやそれ以上の価値があるとするアタランテにとってそれは度が過ぎた挑発になりえた。

状況がわかり次第、アタランテは即座に道満を攻撃。
そうして、あの時の状況に至るわけだ。


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