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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
困憊するあたしは、奴らを逃がす
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も走る。
相対していた道満は……追って来ない。
それどころか、にんまりと笑みを浮かべている。
「…なんということを、してくれたのでしょうな。」
ゾッと、より一層寒気が強くなる。
恐怖だ。様々な修羅場をくぐり抜けてきたあの二人でさえ、今恐怖≠感じている。
そして…
「?──────折角貯めた呪いが、零れてしまうではありませぬか。」
黒
闇よりも真っ黒な何か。
それが真誉を中心にしてあっという間に広がっていく。
沼か?違う。それとも闇か?それもまた違う。
じゃあこれは何だ?
「ぅ…うぇ…っ!!」
「葵様…!!」
見ていると吐き気が込み上げてくる。
口を抑え必死にこらえるも、あたしは地面に吐瀉物をぶちまけてしまった。
「大丈夫?」
「っ…はぁ…な、なんとか…。」
なんとか逃げ切り、心配そうに覗き込む武蔵さん。
香子に背中をさすられながら、たどたどしくも言葉を返す。
「っていっても…アレは何?」
「…呪いです。」
「呪い…?」
見渡す武蔵さんの疑問に、香子が間を置くことなく答える。
黒い溜まり。これは呪いの塊なのだという。
「とはいえこれ程までに凝縮された呪い…私は見た事がありません…。」
「…もし触れればどうなる?」
「…分かりません。ですがその呪いは身体を蝕みます。おそらく肉体は腐り落ちるほどに。
それにこれはあまりに凝縮され過ぎたせいで、見ただけでも害を及ぼすモノでしょう…。私も先程から気分が悪く…。」
「成程…逃げて正解だったか。」
腕を組みながら大和さんはそう答え、彼らのいる方を見る。
真誉は、膝を着いたまま動かない。
道満はこちらを見、それから御札を使って何かをしようとしている。
そして、その地面に広がる呪いからは
「人…?」
最初は手だけが出てきていた。
一本二本じゃない、何十、何百もの無数の手。
それから真っ黒な人がいることに気付く。
両手を伸ばし、口をパクパクとさせ何かを訴えようとしている。
助けてくれ、という淡い希望の声か、
それとも、お前も引きずり込んでやるという怨嗟か。
そうしてその呪い≠ヘ
「あれ見て!!」
「!!」
武蔵さんが指さした方向。
子供の霊が、その手に掴まれ引きずり込まれていくのだ。
なすすべもなく、何本もの腕に掴まれ容赦なく引きずり込まれていく。
肉体は死んで、魂すら救済されず、
そうして呪いの渦の中に取り込まれていく。
「ンンンンンンン!!どうでしょう!呪いはさらに増していく!!特に無念の死を遂げた子の霊は何よりの栄養源になりましょう!!」
魂が、殺され、操られ、なんの罪も無い魂が消えていく。
死んで、さらに死んで、恨みが増し
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