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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
困憊するあたしは、奴らを逃がす
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姦蛇螺を見限り新たな式神を呼ぼうとする真誉に容赦なく斬り掛かる。
守るべく庇う黒い影。
しかしそれを普通に斬り裂き、真誉にその刃を届かせようとする。

「そうなんだ。そうやっていじめるんだ。」
「悪いが俺にそういった揺さぶりは効かない。」

鞭を振るうも容易く斬られる。
影で覆って捕縛しようとするも速すぎて捕えられない。
何か手を打とうとするも、それらは尽く潰される。
次第にイライラしてくる真誉。

「もう!いい加減にしてよ!!嫌なことばっかりする!!」
「こちらの台詞だが。」

あちらは戦闘のプロ。
おそらく踏んだ場数が圧倒的に違う。
影を出せば即斬られ、死角からの鞭を用いた攻撃もまるで後ろに目があるかのように避け、反撃に移る。

落ち着いて式神を呼ぶことも出来ない。
次第に追い込まれる真誉。
御札を取り出すべくあの人形の背中のジッパーを開けようとするも

「…!」
「あ……」

大和さんは、斬り裂いた。

間桐桜を模したそのぬいぐるみはバッサリと裂かれ、中にしまい込んでいた御札がバラバラと散っていく。
動揺、焦り、
真誉が今までにない表情を見せた。

「あ、ああ…!ああああ!!!」

焦って御札を集めていく、
のではなく

「桜ちゃんが…桜ちゃんが!!!」

斬れた人形を抱き抱えた。

「…。」

しかし、その瞬間も大和さんは見逃さない。
走る一閃。

「え…」

無慈悲な一撃は、その抱き抱える腕をバッサリと斬り落とした。

「桜…ちゃん?拾えないよ?」
「……諦めろ。お前はここで終わりだ。」
「桜ちゃん…?桜ちゃん?ねぇ桜ちゃん??」
「……。」

トドメを刺そうとした大和さんが、止まる。

しゃがみこみ、肘から先のないその腕で、あるはずの無い手で落ちたぬいぐるみを拾おうとしている。
その目は、ぬいぐるみしか見ていない。
すぐそこに命の危機が迫っているのに、ぬいぐるみの事しか考えていない。

そして、


(なんだ、それは…。)

まず痛がらないことも怪しいが、
いちばん怪しいのはその断面から滴る、黒い何か

血にしては黒く、ぼた、ぼたと落ちるそれは粘度がある。
さしずめ、泥のように。

「……!!」

途端、ハッとして大和さんは顔を上げる。

「武蔵!!なにかマズい!!」
「!!」

彼の声で道満と戦っていた武蔵さんが手を止める。
そして、感じ取ったのだろう。

遠くにいるあたしからでも感じる、この正体不明の怖気を。

「…ッ!!」

戦闘を中止し、あたし達の方へ一目散に走ってくる2人。

「走れ!!今すぐここから離れろ!!」

叫ぶ大和さん。
そこから少し遅れて武蔵
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