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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
困憊するあたしは、奴らを逃がす
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たしにだってある。
そう言おうとすると、後ろから肩をポンと叩かれた。

「葵ちゃん。私達はいいの。」

武蔵さんだ。
こんな状況にもかかわらず、相変わらず
彼女はにんまり笑ってる。

「三笠の人達とはながーい付き合いなんでしょ?ギクシャクしちゃったらたまったものじゃないじゃない?」
「それは…そうですけど…。」
「じゃあいいの!憎まれ役なら根無し草の私達の方がずっと向いてますし。」


でも、自らそんな役を買って出るのは、どうなんだろう。
彼らはもう、この辺りには来られなくなる。
会うこともなくなるのでは無いだろうか?

「葵。」

そうして去り際、
大和さんはあたしにあるものを託した。


「あの2人…蘆屋道満とそのマスターだが、必ず何かしてくるだろう。」

それは

「そうなる前に止めろ。なにかする前に、お前が先手を打って阻止しろ。」

あの二人を倒せ、という無念。

「俺の予測だが、アレはしばらくここから離れるつもりはないと思う。少なからずダメージも負っている。それに、感情の強い子供の魂は呪いの栄養源になるとも言っていた。」

確かに、それが気になってはいた。
呪いの栄養源、奴らは…何かを育てている…?

「幸い財団の手はもうここには及ばない。なら存分に道満退治に集中できるだろう。」
「…まぁ、はい。」

色々なことがあり、あの葛城財団は関東エリアに侵入することが出来なくなった。
なんか裏の世界の人間を怒らせたからとか真っ黒な噂話もあるがそれはそれでありがたい。

なら

「あたしは倒すよ。あの蘆屋道満も、森川真誉も。」
「…そうか。」

思いは託された。
だったらあたしは奴らを倒す。

「さようならは言わないでおく。お前達とはまたどこかで会いそうだ。」

それだけ言い、大和さんと武蔵さんは踵を返してこの三笠から去っていく。

去り際、
「で、これからどうするの?」
「姫路町だったか?あの誠という探偵に同行させてもらおうと思ってる。」

とやり取りが聞こえたので彼の言った通り、またどこかで会いそうだ。


「…。」

そうして2人は去り、誰もいなくなってあたしと香子だけになる。

海風が頬を撫でる。
カモメの鳴き声、穏やかな波の音、
三笠の激戦や、昨日の騒ぎが嘘だったかのように平和だ。

「……。」
「葵様。」

あたしたちも帰ろう。
そう思い一歩を踏み出そうとしたら、香子が口を開いた。

「何?」
「その…何を貰ったかは、愛されていることには繋がりません…。」

あぁ、その事か…。
気にしていないつもりだったんだけど、どうやら香子にはお見通しだったみたいだ。

「出会った時から、香子のマス
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