第132話『忠告』
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を招く儀式、『神降ろし』をやるつもりだろう」
「神、降ろし……?」
「文献で読んだだけだから具体的にはわからないが、その儀式には莫大な魔力と『神力』が必要になるそうだ。奴らが優勝杖を奪ったのは、この魔力を補うためだろう」
「えっと、神力って……?」
「文字通り、神様の力のことさ。神様が御座す土地のことを『神有地』なんて呼んだりするが、その地域は神力によって魔力に溢れていて、魔術師にとって絶好の環境となる。だがその力を奪われてしまえば、たちまち土地は神の加護を失い、次第に土はやせ、草木は枯れ、生き物は住む場所を失ってその地を離れる。つまり、土地が死んでしまうんだ」
ここに来て、新出単語が2つも登場してきた。しかもどちらも『神』絡みである。宗教の話でもされているのかと思ったが、アーサーは至って真面目に説明してくれているので事実なのだろう。
「ここ2ヶ月の間に、スサノオによって神有地が襲撃され、神力が奪われる事件が全国で20件以上起こっている。そして今後も増え続けるだろう。早急に対策を練る必要がある」
「そんなに!? でもどうやって……?」
神力はその土地を支える神様の力。その力が奪われると土地は死ぬ。しかもその力を利用して神降ろしを行うことで、スサノオは願いを叶える。要するに……ヤバいということだろう。
しかし対策といっても、全国の神有地のどこが襲撃されるのか予想できない限り、防ぎようがないのではなかろうか。
「襲撃された神有地を並べてみると、奴らは基本的に神力の強い……いわゆる、レベルの高い神有地を狙う傾向があるようだ」
「つまり、まだ残っているレベルの高い神有地で待ち伏せするってことですか?」
「そういうことだ。だが各地で待ち構えて戦力を分散させてはスサノオには対処できない。だから守護する神有地は最小限に抑える。例えばここ、日城中学校とかね」
「え!? ここ神有地なんですか?!」
何とか噛み砕きながらアーサーの話を聞いていたが、唐突に知らない事実を叩きつけられて大声を出してしまう。人気のない屋上に来ていて正解だった。
「知らなかったのかい? 資料によると、日城中学校は国内でも最高レベルの神有地らしい。証拠は例えば……神様を祀った祠なんかは見たことないかい?」
「いえ……」
この学校は不思議なことがいっぱいあるから、それこそ神様がいたとしてもおかしくはない。
というか、神有地が魔術師にとって最高の環境なら、この学校が魔術師育成機構とやらに指定されているのも納得がいく。
「何にせよ、スサノオは日城中学校を必ず狙ってくる」
「そんな……!」
ただの学校……ではないが、一般人もたくさんいるこの土地
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