刃の始まり
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一度の奇跡であるし、それ以降に動けなくなるというのも当然の報いでもあった。
だが、行った。
一直線に、剣神に。
あり得ない軌道を取ってきた立花・宗茂を前に感じたのは驚嘆でも、死の予感でもなく、あったのは煮えたぎるような怒りであった。
この馬鹿野郎……!
だが、しかし、その意気ごみは良しと認めてしまうのは男だからだろうか。
躱すか?
楽勝だ。自分の足でも十分だし、いざという時は第一形態で無理矢理躱せばいい。そして、その後に倒れて恐らく動かなくなっている宗茂に止めを刺す。
実に教科書通りの終わり方だ。
だが
……俺はそんないい子ちゃんになった覚えはねぇわな。
やるならド派手に。
それが俺らしさというモノだろう。
だから
「正面突破ぁ……!」
足を一歩宗茂の方に踏み込む。
利き足の右足。そして、それを起点にその一歩にあり得ないくらいの力を込める。
それに伴って、地面に罅割れていくのが目に見えるが気にしない。
そして最後に
「お……!」
地面を爆破するつもりで走るというよりは飛ぶ。
そして、互いの加速により一秒とも言えない時間で激突。
お互いの激突の火花が一瞬太陽のように煌めくが、気にせず、そのまま指にあるスイッチを押す。
光が花と咲き、押し込む力が増大する。
位置関係上、自分はブーストの流体光を諸に受ける事になっているが、それは加護で問題にはならない。
宗茂は驚愕する前に、ブーストの力も借りて、刹那と言ってもいい時間で、彼を空に跳ねあげる。
そこが決着の場所だぜ!
「がぁ……!」
弾かれた衝撃で体と肺が軋む。
最後の加速も敗れた。このまま自分はただ重力に負けて、落ちて敗北するだけ。足は既に使い物にならなくなっている。
だが
……まだ負けては……いない……!
しつこいと言われることは承知だ。
実際、もうほとんど負けているようなものであるし、ここからの逆転は難しいを通り越して終わっているレベルだろう。
だからこそ、相手も油断が生じているかもしれない。
そこを狙って、空中から通常駆動を……!
腕はまだ動く。
まだいける。
私は勝って、ァさんに向かって、ただいまと言わなければいけないのだ。
ここでァさんを悲しませるのは男として、そして夫として出来る筈がない。夫婦というのはお互いがいてこその夫婦なのだ。
それを私の敗北で
失わせたりは……絶対に……!
無理矢理に体を動かす。
五体は既に鉛のような重さを持っているが、空中であったのが幸いか、何とか空中で体を地面に向けれた。
だから、目の前に見えてしまった。
剣神が空に向かって疾走してくる姿を。
「…
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