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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十二 英雄
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天道を中心に、揃ったペイン六道。
二人欠けている敵の勢力に疑問を抱くも、波風ナルより先に、里の現状に怒り心頭で綱手で立ちはだかる。


「私は…っ、五代目火影だ…!」

慌てて火影を護衛する暗部が追い駆けるも、怒りで我を忘れる綱手の耳には届かない。

「先代達の宝を…夢を蹂躙したお前らは…ッ、絶対に許さん…!」
「少しは痛みを理解したようだな」


五代目火影の咆哮に、ペイン天道は顔色ひとつ変えず、淡々と答えた。
けれどその視線の先は綱手などではなく、彼女の後方を一心に見据えている。
後方で佇む波風ナルだけを、その渦巻く輪廻眼は認めていた。

「だがお前などに用はない」


瞬間、足がない状態で【口寄せの術】を発動させる。
畜生道の手から現れた素早い巨大な鳥が、綱手の身体を貫かんと迫りくる。



「あるのは──」
「──オレだろ!」


刹那、巨大な鳥が波風ナルの一撃で沈められる。

綱手より遥か後方にいたにもかからわず、一瞬で駆け付け、たった一撃で口寄せ動物を白煙と化したナルの頼もしい後ろ姿が、五代目火影の瞳に懐かしい人影と重なって見えた。

懐かしくて頼もしい先代達の背中に。



「こんな奴らに木ノ葉の火影が出るまでもないってばよ。バァちゃんはゆっくりお茶でも飲んでてくれ」
「ナル…」

少し見ない間に頼もしくなった波風ナルの後ろ姿を、綱手は眩しげに見る。
そして今の自分ではナルの足手纏いにしかならないと早々に自覚して、五代目火影は自分のやるべきことを即座に考えた。


「わかった…里の者にはお前の邪魔にならぬよう、手出ししないように伝えておく」

そう頷き、ナルと共に現れたガマ吉に安全な場所へ連れて行ってもらった綱手はすぐさま、医療忍術に長けた者達を呼びつけた。


「シズネ!いの!ヒナタ!お前達は私と共に負傷者の治療に全力を注げ!」
「「「はいっ」」」

急ぎ駆け付けた綱手の付き人であるシズネ、綱手の弟子である山中いの、そして医療忍術に長けている日向ヒナタは、この惨状で自分達がすべきことをテキパキと始める。


里の中央で今から行われる戦闘に、波風ナルの安否を気にしながらも、いのとヒナタは綱手の指示に従って、木ノ葉の里の負傷者を治療しようと各々動き出した。













崩壊した建物。瓦解した建築物。途方もない巨大な穴が開いた木ノ葉の里。

けれど里人は皆気絶しているだけで誰一人、命を落としていない。
それは木ノ葉の忍びも例外ではなかった。

何か不思議な膜が里人を、木ノ葉の忍び達を覆っている。それは彼らを守るように展開されていた。

その内のひとりである木ノ葉丸は、襲撃される寸前、自分
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