第四章
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「野球のグラウンドも野球道具も古かったんだよ」
「全部違ったんだな」
「ドームなんて漫画にもな」
こちらにもというのだ。
「出なかったしな、雨が降ったら中止だ」
「仙台みたいにかよ」
「人工芝も電光掲示板もなくてな」
「そんな時代だったんだな」
「今とは全然違うんだ、けれどこいつはな」
年寄りは周りは聞いていないのにまだ言っていた、その年寄りを観つつそのうえでさらに言うのだった。
「わかってないんだ」
「そんな頃と今じゃ野球は違うんだな」
「もう巨人なんてな」
それこそというのだ。
「誰も究明の盟主とか中心なんてな」
「思ってないよな」
「そういうことすらわかってないんだ」
「頭の悪い爺さんなんだな」
「それでそんな爺さんの言うことはな」
そういったものはというのだ。
「気にしなくていいぞ」
「そうなんだな」
「パリーグも何処が優勝するかわからないけれどな」
楽天が所属するこのリーグから話した。
「セリーグもな」
「わからないよな」
「かく言う阪神もな」
年寄りが牙城とまで言ったこのチームもというのだ。
「わからないんだ、その中で巨人だけが阪神に対抗出来るなんてな」
「頭悪いよな」
「どのチームもだ、いいかこんな奴にはなるなよ」
息子に顔を向けて強い声で言った。
「野球だけじゃなくて人間としてな」
「頭の悪い爺になったら駄目なんだな」
「横柄にならないでな」
「謙虚だよな」
「思いやりも備えてな」
そうしてというのだ。
「視野は広く、時代はいつも変わる」
「そう思っていくんだな」
「ああ、そうしたことをしないとな」
「こいつみたいになるんだな」
「こいつみたいになりたくないだろ」
「観ていてすげえ思うよ」
水昇にしてもだった。
「俺こいつ大嫌いになったよ」
「大嫌いな奴みたいになりたくないな」
「ああ、絶対にな」
「そう思うならな」
それならというのだ。
「こいつをよく観ろ」
「それでこいつみたいにならない様にか」
「生きるんだ、何でもやっていくんだ」
「そうするな」
こう言ってだった。
親子はテレビから離れた、野球の番組以外は今のテレビらしくこれといって面白い番組がないのでスマートフォンでネットに移った、そして。
水昇が翌日学校に行くとだった、クラスメイトで野球が好きな面々が『自称球界の盟主』のことで話していた。
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