第二章
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「シリーズ二年連続四連敗でな」
「ここ三年優勝してなくてな」
「弱い盟主ってないだろ」
「自称だよ」
父は言い切った。
「北朝鮮だって自称な」
「あの将軍様の国だよな」
「あの国民主主義なんだよ」
この国の話もするのだった。
「人民、国民の国で共和国、王様がいない国なんだ」
「何処がだよ」
息子は嘘だろと顔に出して言った。
「将軍様世襲だろ」
「そうだよ」
「独裁者だろ」
「お前もわかるな」
「クラスの皆言ってるよ」
北朝鮮のことをというのだ。
「独裁者で軍隊ばかり力入れて変な行進してるな」
「あの行進か」
「将軍様だけ太ってるな」
「とんでもない国だな」
「特撮の悪役かよ」
北朝鮮はというのだ。
「何処が民主主義なんだよ」
「だから自称なんだよ」
父は息子にこう返した。
「あの国もな」
「そうなんだな」
「自称は何とでも言えるんだよ」
「そうなんだな」
「それで巨人もな」
このチームというのだ。
「勝手にな」
「そう言ってるんだな」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「昔は確かに強かったしな」
「昔はかよ」
「お前が小さい頃はまだ強かったな。三連覇してな」
「原さんの頃だよな」
「他のチームから選手を掠め取ってな」
巨人の十八番である、ただしそこに長期的なビジョンはなくかつ確かな助っ人の獲得や若手の育成はなかった。もっと言えば本拠地も老巧化が進んでいる。これこそが『球界の盟主』とやらの実態である。
「強かったんだよ」
「そうなんだな」
「ただこいつはな」
まだテレビで喚いている年寄りを観て話した。
「その掠め取った戦力でもな」
「駄目だったんだな」
「采配が下手でな」
そうであってというのだ。
「横柄で暴力振るって思いやりもなくてな」
「性格悪いんだな」
「そんな奴は嫌われるだろ」
「そうなるよな」
「それで選手からも嫌われてな」
そうなってというのだ。
「余計にな」
「采配も下手でか」
「負け続けて二年でクビになったんだ」
「そんな奴かよ」
「だから偉そうに言ってもな」
それでもというのだ。
「皆聞いてないだろ」
「テレビの他の人どうでもいい顔してるな」
「巨人だけじゃないからな、野球は」
そもそもというのだ。
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