第一章
[2]次話
ハワイ仕込みの英語
奈良市のハワイ料理の店ワイキキの店長ダニエル=ヤマダは日系アメリカ人である、日本に来てそのうえでこの店を経営している。
長方形の顔で剽軽そうな顔立ちで日に焼けた肌と細い小さめの目に短い黒髪を持っている。背は一七五位で痩せている。
彼はよく店員に訛りのある日本語で言っていた。
「日本語は難しいよ」
「あれっ、店長さん日系人ですよね」
「日本語駄目なんですか?」
「ハワイで生まれ育ったからね」
店員達にそれでと話した。
「周り皆英語だし」
「だからですか」
「日系人でも日本語苦手ですか」
「そうなんですか」
「お寿司やお刺身は大好きでも」
それでもというのだ。
「どうも日本語はね」
「苦手ですか」
「店長さんにとっては難しいですか」
「そうなんだ、英語の方がずっと簡単だよ」
こう言うのだった、そのうえで奈良市の商店街の中で店を経営していた。店自体はかなり繁盛していた。
だがそんな中でだ。
ある日店に二メートルはあるアフリカ系の男性が来てまずは英語で言ってきた、それで英語の中で生まれ育ったヤマダが応えたが。
ヤマダは話してだ、違和感を覚えて客に日本語で尋ねた。
「わかりますか?」
「僕大阪で暮らしてるよ」
男性は少したどたどしい日本語で応えた。
「読み書きも出来るよ」
「それなら日本語で」
「うん、お願いするよ」
お互いにこう話してだ。
日本語でやり取りをした、そして席に案内されてメニューを注文したが店員達はそのやり取りを見て不思議に思った。
「最初は英語でやり取りしてたのに」
「何で日本語に切り替えたのかな」
「ちょっとおかしいわね」
「普通そのまま英語でいくよね」
こう話して首を傾げさせた、それでだった。
営業が終わってだ、彼等はヤマダに尋ねた。
「あの、さっきの黒人のお客さんですが」
「最初英語でしたよね」
「それで何で日本語に切り替えたんですか?」
「あの人何処の人だったんですか?」
「アメリカ人だよ」
ヤマダは店員達に答えた。
「あのお客さんはね」
「同じですよね、それなら」
「店長さんと」
「それなら余計に普通にやり取り出来ません?」
「英語で」
「いや、英語といっても色々でね」
ヤマダはいぶかしむ店員達に笑顔で話した。
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