勝者は・・・
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ことも想定しているのではないか?)
現在エルザの手元にある酸素は咥えているもののみ。対してシリルは一つそれを持っている。その残量はわからないが、まだ吸っていないところを見ると自身よりも多いと想像することができる。
(ならここは迎え撃つべきか?)
もし距離を取ればシリルは持っている酸素に手を伸ばす。そうなるともし決着がつかなかった場合シリルに負ける可能性が高い。
(だが・・・それすらシリルの思惑のうちに感じてしまう)
酸素が限られている空間での思考のためかなかなか考えがまとまらない。普段ならありえないほどの長考・・・しかしそんなことをしている余裕がないことに彼女は手遅れになるまで気付かなかった。
「竜魔の・・・」
「!!」
視線を一切切ることなく見ていたはずの敵がいつの間にか目の前に来ているのだ。彼女は慌てて対応しようとするが、少年の拳はその剣を弾き飛ばした。
「鉄拳!!」
「なっ・・・」
反応が遅れたことで剣を握る力が入っていなかったエルザ。しかし、彼女の魔法ならそれも大した問題ではない。
「換装!!」
水中での戦いに適している海王の鎧。それに身を包んでいたエルザだったが武器を失ったことで別の鎧を呼び出そうとする。しかし、それは今彼女が取るべき最善手ではなかった。
「竜魔の顎!!」
「!?」
換装の体勢に入ったエルザ。そんな彼女の脇腹に向けて両手を握り合わせたシリルの一撃が入る。
「えぇ!?」
「あれいいの!?」
「まぁ・・・隙だらけといえば・・・ね?」
まさかの一撃に少年の応援団であるはずのウェンディたちですらこの反応。
「卑怯な気もしますけど・・・」
「そうね。でも・・・」
魔法の発動の最中の攻撃だったことでそれはどうなのかと言う疑問も脳裏を過ったが、ミラジェーンの見解によりそれが間違いだったとすぐに気付かされる。
「エルザの換装の間に攻撃なんて、普通の人は間に合わないわよ?」
「そういえば・・・」
エルザの魔法の熟練度は非常に高い。そのためコンマ数秒の間に次の鎧になれるため今まで誰も換装の最中の攻撃を突くことができなかった。しかし今、シリルの攻撃は誰も成し得なかった攻撃を可能にしていたのだ。
『シェリア選手退場です!!』
場内に響き渡るのは先程シリルとの戦いに破れた少女の敗北の声。そしてそれは残り時間の短さを物語っていた。
「あと何秒?」
「もう10秒ないよ!!」
「早くしないと」
酸素魔水晶が敵から外された場合は10秒以内に再度それを咥えなければならない。シリルの場合は自らの意志で外したため取り替えの時間を要すると判断され30秒間が付与されているが、その間に倒したシェリア
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