魔力量
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体となっていたキメラ。それは、それまでの頑丈さが嘘のようにその破壊を受け入れた。
全身がガラスのようにヒビが入り、すぐさまそれは全身へ走っていく。その体全てが粉砕され、氷を中心とした爆発が巻き起こる。キメラの体は氷片となり、雪のように大学のキャンパスへ飛び散っていった。
「驚いた」
アウラは平然とした表情のまま、ウィザードとフロストノヴァを見つめる。
「すごいじゃない。あの化け物を倒すなんて」
「……死者を好き勝手に弄るお前を許さない……!」
全身からあふれ出る水の魔力が、ウィザードの怒りを代弁する。左右に広げられた腕から怒涛の波のように溢れるそれが宙で孤を描き、アウラへ迫る。
だが。
「そんな魔力。怖くないわ」
その水は、アウラへは通じない。
彼女の全身より放たれる白いオーラ。それは、水の奔流を押しのけ、周囲に霧散させた。
「なっ……!?」
「気付かなかったのかしら? 私の魔力に」
アウラの表情は先ほどから一切変わらない。
無表情ながら、彼女は話を続ける。
「赤い姿よりは多少は魔力が増えても、私には到底及ばないわね。ふふ……いつでもあなたを操れる……」
「……やってみろ……!」
ウィザードはまだ出したままのドラゴテイルを強く地面に打ち付ける。
力強い音が鳴り、その存在を誇示する尾。
それを見つめていたアウラは、横目でビースト、フロストノヴァ、えりかを見やる。
「まあいいわ。また今度にしましょう」
ウィザードたちへ背を向けた。
「……!」
「逃げんのか!」
ビーストが怒鳴る。
するとアウラは、笑みを浮かべたままゆっくりと振り向いた。
「追って来れば? どうなるか、分かると思うけど」
「……ッ!」
すると、ビーストは押し黙る。彼も、アウラの追跡は賢明ではないと判断したのだろう。
そのままアウラが悠然と大学を去っていくのを、ウィザードたちは見届けることしかできなかった。
やがて彼女の気配が完全に消えたころ、ウィザードとビーストは同時に変身を解除した。
「……ふぅ……」
「クソ……面倒な敵が現れたもんだな」
コウスケが毒づくのを聞き流しながら、ハルトはフロストノヴァへ駆け寄った。
「ありがとう。フロストノヴァ。おかげで助かったよ」
「……」
だがフロストノヴァは何も答えない。
ハルトへ背を向け、大学構内___おそらく別の大学出入り口___へ足を向けた。
「ああ、ちょっと!」
「フロストノヴァさん、ありがとうございます」
フロストノヴァは、えりかの声で足を止めた。ゆっくりとえりかへ視線を動かすフロストノヴァは、やがて静かに口を開いた。
「勘違いするな。シ
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