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英雄伝説〜黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達〜
第20話
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めるために、黒月にデカイ借りを作る事になるのは明白だ。そうなると、俺は身動きが取りづらくなるんでな。――――――ここはあえて相手の土俵に乗る、ってのはどうだ。」

「相手の土俵、つまりギャンブルか?」

ヴァンの提案にアーロンは目を丸くして確認した。

「ああ、そうだ。」

「ククク――――――やっぱオッサン、アンタ面白えわ。オレも考えはしたが、シドと組んでも分が悪そうだったからな。そういうからには、博打の腕前に自信はあるんだろうな?」

「ま、それなりにな。ちなみにジャックから聞いたが――――――お前、ジャックたちに3回に1回は勝つんだってな。俺なら5回に2回は勝つ、って言ったらどうだ。」

「ハッ、さらっとマウント取ってんじゃねえよ。だがまあ、ブラフってわけでもなさそうだな。」

「ま、あくまで客観的に言ったまでで過信はしてねえつもりだ。だが少なくとも、相手は二人ともハルに匹敵する腕前を持つギャンブラー。つまり俺とお前が組んでもまだ分が悪い……となると、ジャックとハルの力を借りるべきだろうな。」

「クク、なかなか冷静じゃねえか。」

「お前の方こそ、もう少し勢い任せなガキだと思ってたんだがな。”羅州の小覇王”の名も伊達じゃねえってことか。」

「そいつはどーも。俺だってなるべく無駄な抗争は避けてえ気持ちはある。東方人街の奴等は俺にとっちゃ家族みてえなモンだし、姉貴にも迷惑を掛けたくないからな。」

「ハルも言っていたが、義理の姉には結構気を遣っている事もそうだが、東方人街の連中も大切にしているんだな。」

アーロンの姉思いな部分を知ったヴァンは目を丸くして指摘した。



「ガキの頃にオフクロを亡くしてな。だがそんなオレを、街の連中は変わらず迎えてくれたし、何だかんだで黒月にも世話にはなってる。姉貴も行き倒れの自分を拾ったオフクロへの恩は魔術でオフクロを1年生き長らえさせた件で十分返したのに、オフクロが亡くなった後も血が繋がってない俺を本当の家族のように接して今まで大切に育ててくれた。新市街の金持ちやエリート連中もそうだが、黒月の一部の幹部やチョウのような有能な若い連中からもモテていた姉貴なら、その気になれば結婚して相手の金で楽な生活を過ごす事もできたのによ。」

「魔術でお前のお袋さんを1年生き長らえさせたって………ルウ家のお嬢さんからお前の義理の姉は異世界の”迷い人”で魔術を扱えるという話は聞いていたが、治癒系の魔術でお前のお袋さんを生き長らえさせたのか?」

「ああ。そのお陰でオフクロは医者から告げられた本来の寿命より1年も生き長らえる事ができたし、姉貴の魔術によって病気による痛みを感じる事なく最後まで普通の生活をしながら過ごせたし、最後を迎える時も笑顔を浮かべての大往生だったよ。
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