第一章
[2]次話
悪魔と思ったら天使だった
八条学園高等部普通科一年生マリー＝メローのファッションはかなり評判が悪い。ネイビーブルーの短めのセーラー服に足が完全に隠れるセーラー服と同じ色のスカートにだ。
ストレートのブロンドのロングヘアに青の切れ長の目を中心とした派手なメイク、そしてその手にはいつも木刀がある。そのファッションたるや。
「昭和のスケ番かよ」
「八条学園色々な制服あるけれどないでしょ」
「メイクも派手で」
「木刀持ってるし」
「チェーンまでジャラジャラさせて」
初対面の者は誰もがこう言った、そしてさらに言うのだった。
「滅茶苦茶怖そうだし」
「そのまま不良で」
「何かもう悪魔って感じ」
「背中に入れ墨あるかも」
こんなことを話した、だが。
彼女を知る者はファッションについて言うが。
「いやいや、いい娘だから」
「天使みたいに」
「あんないい娘いないから」
「一度会えばいいから」
こう言うのだった、その話を聞いてだ。
中等部の三年生カトリーヌ＝ジスカンデール彼女と同じフランス出身でふわふわとした茶色の肩までの髪の毛に栗色の目とあどけない表情を持つ一五五程の背でスタイルのいい彼女は実際に会ってみることにした。
「部活手芸部だから」
「放課後そっちに行けば会えるよ」
こう言われてだった、自分も手芸部ということもあり高等部に行って彼女と一緒に手芸をして教えてもらうという理由を作ってだ。
そのうえで会うことにした、そして事前にお邪魔するとそちらの手芸部に行った一年上の下敷くしていた先輩に連絡をして高等部の方に行ってだった。
手芸部のドアを叩くと何と本人が出て来た。
「お話は聞いています、どうぞ」
「えっ！？」
穏やかで礼儀正しい挨拶にだった。
カトリーヌは仰天した、だが。
彼女と話をして手芸を見るとだった。
「あの、何か」
「どうしました？」
「そのファッションとです」
日本の昭和のスケ番、悪魔とさえ言われるそれをだ。
「メイクを見ますと」
「実は」
マリーは優しい笑顔で答えた、二人は今向かい合って座って共に糸と針を使って刺繍に励んでいる。
「好きでして」
「お好き、ですか」
「日本の昭和五十年代のファッションが」
「だからですか」
「持っている私服もそうで」
日本の昭和五十年代のファッションでというのだ。
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