第二章
[8]前話
「あんたどうしてここに」
「いや、人間ドッグなんだけれど」
「そ、そうなの」
「久し振りだね」
「そ、そうね」
「あれっ、何かあったの?」
「い、いや私今も人間ドッグだけれど」
智子は双樹に非常にバツが悪そうな顔で言葉を返した。
「あんたに太ってるって言って自分は」
「俺今も太ってるよ」
双樹は智子に明るく笑って返した。
「何でもないよ」
「けれど昔そう言って今は自分もだから」
「昔は昔だよ、というか太っていても」
やはり明るく笑って言うのだった。
「健康ならいいじゃない」
「そうなの」
「病気なら仕方ないしね」
「そうなってもなの」
「うん、太ってるとかどうでもいいよ」
その太った身体で言うのだった。
「生きているなら充分じゃない」
「大きいね、高橋」
「身体が?」
「違うわ、けれどあの時は御免なさい」
「だから過去はいいって」
「本当に大きいわ」
こう双樹に言って自分の次の診察先に向かった、双樹はその彼女を笑顔で見送って自分も診察を受けた。
そして家に帰ったが後日実家に夫と共に帰省してきた姉にこのことを話すと彼女もこう言ったのだった。
「大きいわね」
「身体がかな」
「だから違うわよ」
ここも智子と同じ言葉だった。
「あんたは。よく痩せて太っている人を馬鹿にする人いるけれど」
「自分は昔太っていてもかよ」
「そうした人もいるのに」
「いや、俺そうしたことしないから」
姉にアイスクリームを食べつつ話した、飲みものは市販のミルクティーでありこれが総統に甘ったるい。
「意味ないし」
「自分を馬鹿にした人にもなの」
「体形言ってどうなるんだよ」
こう姉に言うのだった。
「そんなの意味ないだろ」
「そう言えるのがよ」
「大きいのかよ」
「感服したわ、それならね」
葵は双樹に微笑んで話した。
「安心ね。じゃあ健康を害しない程度でね」
「やっていくことか」
「これからもね。太っていてもね」
「別にいいんだよ」
「そうね」
「健康ならな、それでアイス食う?」
「それは遠慮するわ」
バケツみたいな容器で食べる弟に断りを入れた、そしてノンシュガーの紅茶を飲んだ。そのうえで弟とさらに話したのだった。
太っても平気 完
2024・3・17
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