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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第二部 黒いガンダム
第五章 フランクリン・ビダン
第二節 人質 第五話(通算90話)
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居住区を持つ《アレキサンドリア》であっても、兵員はたかだか三○○名足らずでしかない。ただし、女性比率の上昇によって部屋数には若干余裕を持っていた。その内左舷居住区の半数が女性用として割り当てられていた。ペガサス級でさえ二五○名強であることを考えると、艦体容積に対する兵員比はアレキサンドリア級の方が狭いのだが、近代化によって自動化と省スペース化がなされた艦に息苦しさはなかった。
 統一戦争以後、失業者対策の最大の受け入れ先であった連邦軍であるが、それでも八○パーセント以上は男性であり、前線勤務の女性士官や兵士は特殊な例を除き皆無であった。比較的女性の受け入れに積極的だった宇宙軍でも後方部隊やブリッジに数名いる程度であり、基本的に軍は男の職場であった。しかし、その構造は一年戦争によって崩壊した。宇宙軍などは軍人の八○パーセントが死亡する程の損害を被り、戦後、女性の各署における進出が目覚ましかった。圧倒的な人員不足を補うには女性比率の引き上げ以外に対応策はなかったのだ。現在では、機関部や整備班、衛生班といった部署は女性の職場と化している感がある。
 そのため、連邦の新造艦には女性用の兵舎が設けられることになっていた。逆蔑視との声がないではなかったが、特に問題にはならず、逆にモラルバザードの向上であると軍の評判を上げる結果ともなっていた。

「ここね……」

 士官用が並ぶ部屋の一番外れがヒルダの部屋だった。セキュリティは掛かっていない。インターカムを押して、フランクリンがヒルダを呼び出す。

「あなた……一体何が……」

 ヒルダがエマとカミーユを見て息を呑む。事態が全く呑み込めていないのは明らかだった。

「アレキサンドリアを出るぞ」
「え?どういうことなんです? 何があったっていうんですか!」

 ヒステリックにヒルダが叫ぶ。
 拉致まがいに乗艦させられ、息子が投降してきたかと思えば、夫が《アレキサンドリア》から降りると言い出す。ヒルダは急変する事態についてこられていない。足手まといになるかもしれないとエマは感じた。だが、二人を脱出させることが、エマのティターンズに対してできる善処である。

「母さん……話しは後、今は急いでっ」

 カミーユの苛立った声が二人の言い合いに割って入った。
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