第二章
[8]前話
愛衣は腕時計を受け取った、それから常にその身に着けてとても大事にしていった。二人の交際は高校から大学、就職してからも続き。
結婚した、それから一緒に暮らしはじめたが。
愛衣の姉の寿子、妹と同じ様な髪型と背とスタイルだが勝気そうな顔立ちで髪の毛の色である彼女が夫婦の家に来て妹に言った。
「あんたその腕時計ずっとよね」
「もう十年以上ね」
姉に微笑んで答えた。
「持ってるわ」
「旦那さんのプレゼントよね」
「はじめてのね」
「高校生のプレゼントだと」
寿子はそれならと話した。
「別にね」
「高くないっていうのね」
「そうよね、けれどなのね」
「私にとっては今でもとても高価でね」
テーブルに向かい合って座っている姉に笑顔で話した。
「最高のよ」
「プレゼントだったのね」
「あれから色々プレゼントしてもらって」
「今もよね」
「この腕時計より高価なものばかりで」
左手の腕時計を見つつわした。
「どれも大事にしているけれど」
「その腕時計がなのね」
「最初のプレゼントだし」
「一番ね」
「他のプレゼントに比べたらささやかでもあるかも知れないけれど」
「それでも」
「一番よ」
姉ににこりと笑って答えた。
「本当にね」
「そうなのね。まあ私もうちの人に色々プレゼントしてもらって」
寿子は自分の話もした。
「嬉しいしどのプレゼントもね」
「大事にしているわね」
「そこに心があるから」
プレゼントにというのだ。
「そうしているわ」
「お互いそうよね」
「ええ、じゃあその腕時計はこれからも」
「大切にしていくわ」
姉ににこりと笑って答えた、そしてだった。
それからも腕時計を大事にしていった、壊れて動かなくなっても保管してそうした。そのうえで夫と共に幸せな一生を過ごしていった。壊れて動かなくなった時計はそうした意味で動き続けていた。
ささやかで最高のプレゼント 完
2024・3・16
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