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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第9話
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面の下でふっと笑う。彼はクラウソラスを構えながら、指先で自身の頭をコンコンと叩いていた。

「……『仲間』のことを覚えておくのは得意でね。この病院内のどこに患者が何人居るか……そしてどの位置と角度なら、派手にブッ放しても射線に一切巻き込まないか。もう全部、(ここ)に叩き込んであるのさ」
「なん、だと……!?」

 病院の構造。患者達の位置。座標。その全てを先ほどの「第1ラウンド」の中で記憶していた彼は、クラウソラスの火力が及ぶ範囲を理解した上で発砲していたのだ。自身の武器の威力も、周囲の状況も熟知したからこその「凶行」だったのである。

(……奴は今まで、「撃てなかった」のではない……! 敢えて「撃たなかった」のだ……! 何も出来ずにただ翔んでいるだけであるかのように見せ掛けながら、施設内の全域を脳内に完全記憶(マッピング)するために……!)

 患者達の度外視など、とんでもない。むしろ患者達を守りながら確実にグールベレー隊員を仕留めるために、スザクスパルタンはこの瞬間を待っていたのだ。

「ふふっ、なるほど……! やるではないか、人間の分際でぇッ!」

 1発の火力に秀でた「マグナムモード」に変形したクラウソラスが、さらに勢いよく火を噴く。その一閃を辛うじてかわしたグールベレー隊員は、不敵な笑みを浮かべて体勢を切り返し、自身の専用ライフルを刀剣型に変形させていた。
 そして、飛行ユニットの推力を使い尽くす勢いで、スザクスパルタン目掛けて一気に突進し始める。スザクスパルタンことカインを、命を賭けて斃すに値する好敵手(ライバル)と認めた彼は、人質作戦という小細工を捨てて真っ向勝負に打って出たのだ。

「ハッ、いつまで上から目線でモノ言ってやがんだ? 病院まるごと人質にしなきゃあ、俺を半殺しにも出来なかったようなクズがよぉおぉッ!」

 無論、スザクスパルタンとしてもこの一騎打ちに応えないわけには行かない。彼はクラウソラスを刀剣型の「大剣モード」に変形させ、ブリューナクの推力を全開にする。互いに飛行ユニットの翼を広げた戦士達は、最高速度に達しながらすれ違いざまに刃を振るった。

「ぐぅッ、おあぁあッ……!」
「……考え無しの蛮勇は無能にも劣る大罪、だったか? それじゃあ、その『罪』に相応しい『罰』をくれてやらなきゃな」

 この一閃を制したのは、スザクスパルタンだった。大剣モードのクラウソラスに斬り裂かれたグールベレー隊員の身体が力無く墜落し、廊下の床を削りながら減速して行く。
 ガトリングモードの連射を浴び続けたことで、飛行ユニットを損傷していたグールベレー隊員の方が、僅かに安定性を欠いていた。その紙一重の差が、明暗を分けたのだ。

「……ぬぅああぁああッ!」

 無論、このままでは終わらない。グ
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