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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第2話
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 この世でただ1人の父親が、愛する娘のために命さえ投げ打っても――まるで時間稼ぎにもならない。どれほど崇高な信念を抱いて死を賭しても、運命の神は奇跡を与えてはくれなかったのだ。

「ふん、あのザマでNo.5の再現だと? 笑えぬ冗談だな。シェードの改造人間は皆、生身の人間如きには決して到達出来ぬ『高み』に居るのだ」
「たったの半年、それも人間の軍隊如きが急造した玩具など、紛い物と呼ぶことすら烏滸がましい。所詮は劣化レプリカにも値せぬ、粗雑な鉄屑――!?」

 あまりにも呆気なく、爆炎の中に散ったシールドスパルタン。その最期を嘲笑うシェードの戦闘員達は、猛煙に紛れて飛んで来た無数の弾頭に目を剥いていた。咄嗟に防御体勢に入った彼らの周囲に、大量の小型ミサイルが着弾して行く。
 次の瞬間、その一帯は凄まじい爆炎に飲み込まれるのだった。シールドスパルタンが振り撒いていた煙幕に紛れ、その中から両肩のミサイルを連射していた伏兵――ランチャースパルタンは、その光景に声を張り上げる。

「……よくやったぞロスマンッ! お前が託してくれたこの好機、決して無駄にはしないッ!」

 スパルタンハリケーンから降り、両脚で地を踏み締めている黄色の鉄人。彼は腰部に装備されていた棒状の姿勢制御装置(スタビライザー)を地面に突き刺し、地面に根を張ったかのようにその場から動くことなく、ミサイルを連射し続けていた。
 ランチャースパルタンの多弾頭ミサイルは「手数」こそかなりの量だが、1発当たりの威力は対戦車戦を想定している程度のものでしかない。シェードの戦闘員達に対しては、ほんの時間稼ぎにしかならないのである。

「……さぁ、掛かって来るがいい侵略者共ッ! このヴィルヘルム・フリードリヒ・フォン・ライン・ファルツが相手だッ!」

 それを承知の上で、ランチャースパルタン――ヴィルヘルムは、文字通り命を賭しての「陽動」を引き受けていた。スパルタンハリケーンという高速での移動手段を自ら捨てた彼は、自身の生存率よりもミサイルの命中率を優先しているのだ。

「死にたがりがァア……! 貴様もすぐに後を追わせてやるッ!」
「くそったれ……! 万一ここを突破されて『グールベレー』が投入されるようなことになれば、俺達の面目は丸潰れだッ! 何としても仕留めろッ!」

 己を的にしろと言わんばかりに大仰に両腕を広げ、両肩部のミサイルを矢継ぎ早に撃ち放つランチャースパルタン。「皆殺し」を命じられた戦闘員達が、そんな彼を放置するはずもなく――数多の銃口が、彼1人に向けられる。

隊長(ボス)、どうかご武運をッ! そして……ヴィクトリアよ! この父からファルツの血統を受け継ぎし我が娘よ! 例えこの先、どれほどの困難に見舞われようとも……決して挫けることなく! 諦めず
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