黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第2話
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《アサルトライフル》を構えて引き金を引く。戦車の装甲にすら容易く風穴を開ける、強力な弾丸。その豪雨が、ジークフリート達に襲い掛かって来た。
たった1機でも、装甲車程度なら容易く撃破出来る鋼鉄の超人兵士。そんなスパルタンシリーズでさえも、改造人間が振るう絶大な力の前では、生身の歩兵と大差ないのだ。改造人間が扱うことを前提としている大火力の銃器で攻撃されれば、為す術なく蜂の巣となるしかない。
「……やらせるかぁあッ!」
愛車のハンドルを捻り、先頭に出るまで加速したのはレオンことシールドスパルタンだった。彼は仲間達を弾雨から守る傘となり、マルコシアン隊に襲い掛かる弾丸を腕部の盾で受け止めている。
彼が跨っているスパルタンハリケーンも、戦闘員達の注意を引くように猛煙を上げて疾走していた。その煙は仲間達の姿を眩まし、迎撃に当たっている戦闘員達を困惑させている。シールドスパルタンの愛車には、煙幕を噴霧・拡散する機能が搭載されているのだ。
「ちッ、小賢しい奴め……!」
「ならばお望み通り、あの盾野郎から潰してやる! 総員、奴に全弾を集中させろッ!」
扇状に広がる猛煙の中に消え、姿が見えなくなって行く無数のスパルタンハリケーン。その影を見失った戦闘員達は、煙の発生源であるシールドスパルタンの車体に狙いを集中させていた。
猛烈な弾雨がシールドスパルタンの盾に襲い掛かり、徐々にその鉄壁が崩れ落ちて行く。やがて盾が完全に破壊されると――無防備になったシールドスパルタンの赤いボディが、愛車共々蜂の巣にされるのだった。
「あ……が……!」
全身から鮮血が噴き上がり、だらりと身体が後方に傾いて行く。そんな彼の動きにバランスを崩されたスパルタンハリケーンが、ふらふらと蛇行していた。
(大佐、皆……後は、頼みます)
そして、薄れ行く意識の中で――血に汚れた手をドライバーの腰部に伸ばしたシールドスパルタンは、そこから1枚の写真を取り出して行く。紅い髪を靡かせる可憐な少女が、写真の中で華やかな笑顔を咲かせていた。
「レ、ン……!」
5歳になったばかりの愛娘、レオナ。そんな彼女の愛称である「レン」の名を呟く、シールドスパルタン――レオン・ロスマンは、最期に笑っていた。仮面の下で血に溺れながらも、彼は愛娘の笑顔に釣られるように、頬を緩ませている。
もう一度、この写真を撮っていた頃ような、平穏な日々に戻りたかった。そんな儚い願いを胸に抱き、彼はゆっくりと瞼を閉じて行く。彼を乗せたまま、蜂の巣にされたスパルタンハリケーンが爆炎の彼方に消えたのは、それから間も無くのことであった。
シェードとマルコシアン隊。改造人間と生身の人間。双方の間にある、絶大な力の差。その隔たりを物語るには、十分過ぎるほどに残酷な光景だ
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