黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第2話
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彼にはもうすぐ10歳になる息子が居るらしい。確か名は……忠義、と言ったかな? 奥方の愛真殿に似て、かなりの美形に育っているそうだ。父親譲りの傑物に育てば……いずれはヴィクトリアの花婿候補にもなれるかも知れんな」
「い、今からもう縁談の話ですかぁ……? さすがに気が早過ぎるんじゃ……」
「準備も心構えも、早過ぎて悪いことはない。君の愛娘も、いずれはロスマン家に相応しい男を選ぶことになるのだ。父親とは、そういう覚悟を迫られるものだよ」
「あはは……僕にとってはまだまだ遠い話ですよ」
今は幼い愛娘も、いつかは立派な大人の女性に成長し、恋や愛を知る時が来る。だが、レオンは頭で理解していてもどこか受け入れ切れないのか、ヴィルヘルムの言葉にも苦笑を浮かべていた。
娘の幸せを願う父親としてはやはり、「将来の結婚相手」というものには苦々しい感情が湧いてしまうものなのである。それを堂々と受け止め切れるほどの度量はまだ、レオンには足りていなかったようだ。
「よぉーし良いねぇ、決まってるねぇ! そいじゃあ、もう1枚撮っとくかぁ!」
一方その頃、ニコライ・イェンセン少尉をはじめとする何人もの隊員達は、訓練が終わったというのに外骨格を脱ごうともせず、お互いをカメラで撮り合っていた。時にはポーズを決めたり、笑いながら肩を組み合ったり。彼らは和気藹々とした雰囲気の中で、スパルタンの鎧を纏う自分達の勇姿を写真に収めようとしている。
だが、現時点においてスパルタンシリーズは「軍事機密」であり、おいそれと記録媒体に残していい代物ではない。個人的な撮影など、もってのほかだ。部隊の中でも人望が厚いニコライが率先して軍規に違反しているこの光景に、エドガー・バレンストロート大尉は露骨に眉を顰めていた。
「おい、イェンセン少尉。お前達も、そこで一体何をしている」
「おっ、バレンストロート大尉! いやぁ、戦いが無事に終わったら娘のニッテに見せてやろうかなぁって思いましてね! 大尉もどうです? エヴァお嬢ちゃんも喜びますよぉ!」
ジェットスパルタンの鎧を装備したまま、ツカツカと歩み出て来たエドガー。彼の注意を受けたニコライ達は、バツが悪そうな表情を浮かべて撮影を中断――しないどころか、むしろ満面の笑みを浮かべながら、彼まで巻き込もうとしていた。
どこまでも破天荒な部下の振る舞いに、エドガーは深々とため息を吐いている。アメリカ陸軍との合同訓練で知り合ったジャック・ハルパニア少尉も血気盛んで型破りな人物だったが、ニコライはそれ以上だったようだ。
「イェンセン少尉……それにお前達も、『軍事機密』の意味が理解出来んのか? まだ政府はスパルタン計画の公表を決めておらんのだぞ。軍の成果として報道するか否かは実戦の成果を見
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