第三部 1979年
姿なき陰謀
隠然たる力 その3
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レンドリースの関係もあって、ソ連ではライセンス生産はしなかったようだ。
ユルゲンの話を勘案すると、東ドイツでも管制ユニットのみは、直輸入に頼っていたという。
その他の国も同じであろう。
今までの話を総合すれば、戦術機とそれに対応したスーパーコンピューターは、米国内にあるサーバーとリンクしている。
搭乗者のバイタルデータや、戦術機のガンカメラからの画像が、即座にワシントンやニューヨークにあるデータセンターに情報が伝達される。
しかし、ソ連がよくそんなものを認めたという事だった。
全く知らないのか、政治的裏取引の結果か……
これは、今回の調査の後にでも、調べよう。
マサキは、米国がスパイウエアを仕掛けたという、今回のマライの話を聞いて、思い当たる節があった。
それは、ほかならぬマサキ自身が、前世において、全世界に仕掛けた陰謀によく似ていたからである。
前の世界で、マサキは鉄甲龍の表の団体として、国際電脳という電子機器メーカーを作った。
その主な販売先は、日米を始めとする西側諸国、中共、中南米。
事業規模は、原子力発電所、気象観測用の人工衛星、固定式核ミサイルサイロへの電子部品の提供である。
秘密裏に、全世界の七割をも影響下に置く、情報ネットワークシステムを構築した。
だが、鉄甲龍の首領、幽羅の世界征服を望む陰謀により、ことごとく破壊されてしまった。
ハイヴから回収した希少資源や金塊は、いずれにせよ、枯渇するだろう。
前の世界で、電子部品を売って、半永続的な軍事費を得た国際電脳。
この世界でも、今一度作り直すか。
マサキは、紫煙を燻らせながら、昔日の夢を一人思い返すのであった。
マサキはロボット工学の専門家であるが、有人機動ユニットから発展した戦術機に関しては、ずぶの素人だった。
そこで、専門家に頼ることにした。
マサキがまず頼ったのは、サンダーボルトA-10の設計技師だったピエール・スプレイ。
米空軍長官の信任厚い彼の下に、涼宮を派遣し、それとなく今回の件を尋ねてみたのだ。
「私の作ったサンダーボルトの評判は、どうですか」
「日本政府としては、こ
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