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冥王来訪
第三部 1979年
姿なき陰謀
権謀術数 その2
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は、基本的に一から育て上げた専属のパイロットが運用することとなってしまった。
 
 F‐14の戦闘は、基本的に遠距離からの引き撃ちに限定された。
超低空で戦域に近づいて、6発のフェニックスミサイルを発射した後、直ぐに戦場から離脱することが基本戦術だった。
新開発の跳躍ユニットは、F−4ファントムのそれと比べて、格段の性能差を持ち、高機動での戦闘行動が可能であった。
 設計主任であるハイネマンは、ソ連赤軍の書いた戦闘報告書を丹念に調べ上げた。
 ソ連赤軍は、伝統的にロケット砲や火砲による砲兵火力による攻撃に重点を置いている。
敵に対し、火力の優位性を確保し、火力を持って敵を制圧することで戦闘を優位に進めるためである。
 BETA戦争初戦において、光線級によって対戦車ヘリや戦闘機が多数被害を受けてからは、その傾向は顕著である。
 長らく続いたBETA戦争で、中央アジアに駐留していたソ連赤軍の部隊の練度は下がった。
兵士の質は下がり、指揮官の能力も乏しく、諸兵器を組み合わせた効果的な作戦機動が出来なくなった。
 そのため、単純かつ無差別の大規模砲撃により、光線級を弱体化させ、その後、戦車や歩兵先頭車を中心とした部隊を突入させ、BETAを殲滅する作戦を取っている。
しかし、この戦術では、仮に成功したとしても犠牲が大きすぎるのが難点であった。
 同じような事は、ユルゲンが提案した光線級吶喊(レーザーヤークト)にも言える。
多数の死傷者を出し、膨大な軍需品を喪失してしまうという点では変わりなかった。
 問題は、如何に死傷者を減らし、軍需品の損耗を減らすか。
光線級の特性を研究すれば、解決の糸口があるのではないか。
 ハイネマンは、BETAの機密資料をソ連経由で多数入手した。
光線級の攻撃には、次弾発射までの約12秒の時差があることに気が付いた。
 標準射を受けて、即座にその場所から移動した後、目的の光線級にクラスター弾をぶつければ、良いのではないか。
 人的被害のあまりにも大きい、光線級吶喊(レーザーヤークト)を過去のものに出来れば……
そんな彼の思想から、フェニックスミサイル運搬機としての、F‐14が完成したのである。
 
 ユルゲンは思わず絶句した。
木原マサキの作った超大型機、天のゼオライマーを見たときほどではないが、今までの戦術機に比して前衛的な機体のデザインに、心底驚いていた。
 逆三角形を思わせる機体設計、両肩に搭載可能な3連ミサイルランチャー。
一番の点は、可変翼を採用した跳躍ユニットである。
 パナヴィアのトーネードに採用された可変翼の事を資料では知っていたが、実物を見るのはは初めて出会った。

「これが、F‐14トムキャット……」
「野良猫とは、良い名前だろう」
 幾分甲高い男の声に、ユ
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