第3部
第3部 閑話@
王様ゲーム
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どういうつもり?」
「別に。こいつの他人事のような顔が癪に触っただけだ」
そんな理由で参加させられるナギがかわいそう。
「そんじゃあ、ゲームさいかーい!!」
もはや手慣れた動作で、新しくしたくじの紙をテーブルに伏せるシーラ。何が何だかわからない様子のナギも、流れで何となく理解できたのか、裏返しになっているくじを手に取った。
『王様だーれだ?』
私とシーラが掛け声を上げ、全員一斉にくじを見る。最初に声を上げたのは……。
「あっ、オレがおうさ……」
ドゴッ!!
重い打撃音が聞こえたと同時に、声を上げようとしたナギの姿が一瞬見えなくなる。瞬きの間に何か変化が起きた気がしたが、気のせいだろうか?
「俺が王様だ」
そんなナギの隣に座っていたユウリの手には、『王様』と書かれたくじの紙が堂々と広げられていた。
「おー、ユウリちゃん、初王様〜♪ そんで、何を命令する?」
「シーラ。今夜の飯代と酒代、全部お前が払え」
はっきりとした口調で言い放ったユウリの言葉に、一瞬ぽかんとするシーラ。ややあって、やっと彼の言葉が耳に入ったのか、まるでこの世の終わりのような形相で悲鳴を上げた。
「ええええええええっっっっ!!??」
グッジョブ、ユウリ!! けど一瞬、何か不正があったような気がしたけれど、気のせいだろうか? いや、気のせいであれ。
「ちょ、ちょっと待て!! なんか今後ろから思い切り殴られたような……」
「ベギラマ」
ぼぉんっ!!
「ぎゃああああ!!」
店内なのでいくらか威力は抑えているが、ユウリの放ったベギラマは、ナギの頭髪を一部焦がしてしまった。
「待ってユウリちゃん、いくら王様でもそれは……」
「俺とこいつの迷惑料込みだ。安い方だろ」
「そんなあ〜……」
往生際の悪いシーラを軽くあしらうユウリと目が合うと、私は彼のマントを引っ張った。
「? なんだ?」
「えと、あの……、王様ゲーム、ユウリは嫌だった?」
「は?」
「迷惑料って言ってたから……。私はそんなに嫌じゃなかったけど」
「!?」
ユウリにとってははた迷惑だったかもしれないけど、内容はともかく3人で遊んだことは私にとっては嬉しかった。普段あまりユウリがこういう遊びに参加することは殆どないからだ。
「酒代は気になってたけど、別にゲーム自体は楽しかったよ」
素直にそう伝えると、一瞬にしてユウリの顔が赤くなった。そして私から視線を逸らす。
「お、お前はそうでも俺は……」
「あー!! シーラが逃げたぞ!!」
「!?」
ナギの叫び声に、はっと我に返る。
「えーん、きっとユウリちゃんが払ってくれると思って、調子に乗って飲みすぎちゃったよ〜!!」
気づけば店の入り口に向かって走っていくシーラの姿があった。
「あのザルウサギ!
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