第3部
第3部 閑話@
王様ゲーム
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。ちらっとユウリの方を見ると、微妙な表情をしている。ということはまさか……。
「やったあ、またあたしが王様だ〜♪」
あろうことか、またもやシーラが王様になってしまった。さすがのユウリもこれには不信を抱いたのか、ぎろりとシーラを睨めつける。
「おいお前、まさか不正したんじゃないだろうな?」
だが、ユウリの指摘にシーラは目を釣り上げた。
「人聞きの悪いこと言わないでよ〜! あたしは遊びに関してはいつでも真面目で本気なんだからね!」
さすが元遊び人。その言葉には妙な説得力があった。
「それじゃあ1番の人、初恋の相手の名前を言って!」
「いない」
シーラの命令ににべもなくそう言い放ったのは、1番のくじを引いたユウリだ。考える暇もないくらい即答した彼は、女性陣が呆気にとられる中、しれっとした顔をしている。
「またまたあ、ホントはいるでしょ? 初恋の一人や二人」
「初恋が2回もあってたまるか」
「えー、じゃあミオちんは?」
もはや番号など関係なく質問している。うーん、この様子は相当酔ってるな。
「私もいないよ!」
私もユウリと同様、きっぱりと答えた。故郷の村に同年代の子がいなかった私にとって、初恋どころか友達すらもほとんどできなかったのだ。
「本当か?」
「えっ!? ほ、本当だよ! だって村に同年代の子なんていなかったもん」
なんでそこでユウリが食いついてくるんだろう。誤解されても困るので必死に否定する。
「別にお前の初恋相手に興味はないけどな」
自分から聞いといてなんなの、それ!!
私はふつふつと湧く怒りを必死に抑えながらユウリを睨みつけるが、当の本人は素知らぬ顔を決めている。
「うーん、そっかあ。じゃあ次!!」
シーラの一声に、険悪になりつつある雰囲気が霧散した。切り替えの早い彼女はすぐにまたくじを裏返しにしてテーブルに伏せる。今度こそ、と思いながら私は手近にあった紙を取る。
「う……」
なんということか、手にした紙には再び2番の文字が。嫌な予感がしつつも、くじを手にしたシーラの方を見る。
「わぁい、また王様だ〜☆」
「……」
喜ぶシーラを横目でにらみながら、わなわなとくじを持った手を震わせているユウリ。さすがにこんなに連続で王様が続くのは怪しいと、再びシーラの様子を探るが、別に怪しいところは見られない。元々遊び人だった彼女のことだ、きっとくじ運に恵まれてるのだろう。というかそう思い込むしかない。
「えーとそれじゃ、1番が2番の体をくすぐって!!」
え!? ユウリが私をくすぐる!? てことはつまり、ユウリが私の体に触れるってことで……。
「……!!」
想像して恥ずかしくなった私は、無意識に自分の体を抱きしめた。
「……」
ああほら、ユウリも微妙な反応してるし!!
で
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