援護軌道
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んですよ。無茶しすぎでしょうこれ。
データを微調整しながら再度風を読んで翼で受けつつ飛行を続ける。軽い向かい風、これならハンググライダーの要領でなんとか……
『目標を捕捉した! 接触まで約10秒!』
オープンチャンネルで聞こえた声にパッケージ確認を終わらせて武装を確認します。
『行くぞ!!』
『……うおおおおおおぉっっ!!』
今私は箒さんの視界共有システムで戦場を見ています。
初めての超音速飛行からの突撃。相手の動きも予測して攻撃できるタイミングは一瞬しかありません。
『零落白夜』を発動して瞬時加速での一撃。映像を通してでも分かる。一夏さんは最高のタイミングで攻撃した。本当に初めてかと疑いたくなるほど相手の速度に合わせたピッタリの攻撃。
それを『銀の福音』は……避けた。
福音は一夏さんたちを確認した瞬間に体を後退の体勢に移行、振るわれた『雪片弐型』の斬撃を回転することで、刀身までわずか数mmのところを避けて見せた。PICを搭載しているISでさえ難しいと言われる機動を難なくこなした福音はそのまま箒さんと一夏さんに相対する。
『くっ……あれを避けるだと!? あの翼があんな急加速を可能にしているのか!?』
箒さんの悲痛な叫びが聞こえる。銀の光弾だったものは止まることでその姿をようやく視認できる。名前の通り全身が銀色に光り輝く機体。
そして背中にはまるで天使の羽のように広がる翼。それこそが福音最大の武装。合計36砲門を誇るウィングスラスターは高密度に圧縮されたエネルギー弾を全方位へ射出する広域殲滅兵器であり、同時に急加速、急制動の行える高出力多方向推進装置を複合した『銀の鐘(シルバー・ベル)』。
『失敗……!』
上のセシリアさんの悲痛な叫び声が聞こえます。同時にオープンチャンネルで織斑先生の声が響き渡る。
『オルコット、カスト。状況によってはお前らに任せる可能性もある。準備しろ』
『「了解!」』
そう言うとセシリアさんが私の上から離れて自力での飛行に移行します。
本来なら作戦失敗の時点で二人は離脱するべき。しかし二人は離脱できない。出来るタイミングが掴めていません。稼働時間が100時間も超えれば自然と味方との連携で同時に離脱することが出来ます。しかし一夏さんも箒さんも稼働時間が少なすぎます。どちらも離脱のタイミングがつかめず、下手をすれば片方が置き去りになってしまう。経験不足、最も単純な理由で二人は窮地に立たされています。
慣性飛行から通常のブースターを吹かすことで速度を上げる。
『あの二人がしくじるなんて……』
セシリアさんの呟きに私も思わず一人で頷いてしまいます。それこそ想定外の事態としか……
『オルコット! カスト!』
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