第二章
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「この通りね」
「妖精達がいるんだね」
「数多くね、この辺りじゃ皆知ってるよ」
この森に妖精達がいることをというのだ。
「それで普通のことでね」
「何も言わないんだ」
「いてもね」
「そうだよ」
「成程ね、しかし」
南郷はここでだった。
森の中を昆虫の様に飛んで行き来して花や木から蜜を吸ったり草に付いた露を舐めている彼等をじっくりと見た、そうしてから言った。
「よく見たらね」
「どうしたのかな」
「いや、女の子や男の子の妖精以外に」
「よくイメージされる様な」
「そうした妖精以外にもね」
彼等を見つつマッケーシーに話した。
「老若男女色々だね」
「そこは人間と同じだよ」
マッケーシーはそのことに驚いた感じになっている南郷に話した。
「家族もあるしね」
「それでなんだ」
「成長もするから」
「歳も取るんだ」
「そうだよ」
妖精もというのだ。
「人間と同じでね」
「そうなんだね」
「左様、わしなぞじゃ」
南郷の顔の前に一人の妖精が来た、見れば白髪頭で長い髭を持つ皺だらけの老人である。
「この通りじゃ」
「お爺さんだね」
「そしてな」
ズボンの裾をめくった、そのズボンと小さな革靴の間に出た脛を見せてきたが。
その脛を見てだ、南郷は思わず言った。
「ああ、脛毛あるね」
「若い時はもう肌が見えなくなる位な」
「濃かったんだ」
「お前さんは見たところ毛が薄そうじゃな」
「髪の毛以外はね」
笑ってだ、南郷は妖精に答えた。
「脛毛や腕の毛は薄いし胸毛はないよ」
「そうじゃな、髭も濃くないしな」
「あとは髪の毛がずっとあったらいいよ」
「そっちは濃いに越したことはないのう」
「そうだよね」
「面白いことを言う、しかしな」
老人の妖精は南郷にさらに言った。
「わし等も人間と同じくな」
「性別も年齢もあって」
「こうして毛もじゃ」
「あるんだね」
「そうじゃ、あれじゃろ」
老人の妖精は意地悪そうに笑って南郷に話した、彼の顔の前でそうした。
「どうせ美少女や美少年ばかりだとな」
「妖精はだね」
「思っておったじゃろ」
「イメージ的にはね」
南郷も否定しなかった。
「そうだよ」
「そうであるな、しかしな」
「それは違うんだね」
「わしみたいな者もおるしな」
「お婆さんの妖精もいるね」
「そうじゃ、妖精もしかとな」
強い声で言うのだった。
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