暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第193話:愛と涙を宝石に
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たのッ!?」
「知らなかったの?」
「だってコイツ今まで喋った事一度もねえんだもん」

 何となくだが言わんとしている事は今までも分かって来た。だがまさか、テレパシー的な感じでコミュニケーションが取れるだなんて思ってもみなかったのだ。話せるならさっさと話せと颯人はドラゴンに対して文句を言わずにはいられない。

「何で今まで話さなかったんだよッ!」
『フン、お前は見ていた方が面白かったのでな。それに、お前と喋るよりも彼女の歌を聞いている方が遥かに心地よかった』

 ドラゴンはそう言って奏の事を見た。威圧感のあるドラゴンに見つめられ、思わず奏も身を固くしてしまう。颯人はそんな彼女を守るように抱きしめると、ドラゴンは小さく鼻を鳴らした。

『正直、お前が羨ましかったのはある。彼女のその歌を、独り占めしているお前がな。だが……』
「だが……何さ?」
『お前が居るから、彼女の歌はより輝くという事がよく分かった。それに、お前達の強い愛が、俺の猛る力を押さえつけた。認めよう、お前は俺の力を使うのに相応しい。今、俺は本当の意味でお前の……いや、お前達の希望となってやろうッ!』

 ドラゴンが颯人の体の中に飛び込んでくる。それを彼は、恐れる事無く受け入れた。今の彼に、己の魔力が形となったドラゴンを警戒したり恐れたりする心は微塵も無い。何故なら今この瞬間分かったからだ。ドラゴンも結局は颯人自身、彼と同じように奏を愛し、彼女の歌に魅了された存在であるという事が分かった。
 いわば同志と言える存在が力を貸してくれるというのであれば、これ程心強い事はない。

 颯人がドラゴンをその身に受け入れた。その瞬間、再び2人の視界は眩いばかりの光に包まれる。

 そして…………




***




 突如颯人と奏を覆い隠すほどの光に、レギオンファントムだけでなく周囲のメイジ達も軒並み戦いを一時中断していた。朝日よりも尚眩い光は、数秒ほどで納まり隠されていた2人が姿を現した。

 そこに居たのは、互いに手を握り合った奏と元の姿に戻った颯人であった。彼が元の姿に戻った事に、響達は歓喜し笑みを浮かべる。

「颯人さん、元に戻った!」
「やったな、奏ッ!」
「へっ、心配掛け過ぎなんだよ」
「全く……あの2人は……」
「でも良かった」
「これで安心デース!」
「後残るは、コイツ等か」

 最大の懸念であった颯人が元の姿に戻た事に、装者やガルド達は素直に安堵した。一方訳が分からないのは輝彦やワイズマン達である。輝彦は颯人の中でドラゴンを倒さない限り彼が助かる道はないと思っていたし、ワイズマンに至ってはもう颯人は助からないと思っていたのだから。

「何だ……あの男、何故生き残ったッ!? 一体何があの男を生き残らせたッ
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