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珍しいライオンと思ったら
第一章

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                珍しいライオンと思ったら
 その動物園は子供の頃から通っていてよく知っている、土橋正幸は子供達に頼まれて彼等と妻の志保と一緒にその動物園に来た。
 そしてだ、まずはこう言った。
「ずっと来ている動物園だけれど」
「子供の頃からよね」
「やっぱり変わったところはあるね」
 大きな垂れ目で細面で黒髪を後ろに束ねた一六二センチ程の背のスタイルのいいズボン姿の妻に言った。
「何かと」
「やっぱり歳月が経つとね」
「僕も変わったしね」
 自分のかなり出た腹を摩って言った、丸い顔で眼鏡もだ。黒髪は左で分けていて一七四位の背でかなりふくよかだ。
「この通りね」
「ちょっと痩せないとね」
 妻はその夫に苦笑いで言った。
「健康にもね」
「よくないよね」
「健康診断にひっかからなくてもね」
「ひっかかってからじゃ遅かったりするしね」
「ええ」
 だからだというのだ。
「太り過ぎにもね」
「注意しないとね、若い頃は」  
 妻にその頃のことを思い出して話した。
「ガリガリだったのに」
「結婚した時も」
「そうだったのが」
 それがというのだ。
「今じゃね」
「太って」
「それでね」
 そうなってというのだ。
「死亡率も三十パーセント超えたよ」
「だったらね」
「痩せないとね」
 こうした話をだ、動物園の中の生きもの達を見てはしゃぐ小学三年生の息子と一年生の娘を見守りつつしていた。そして。
 動物園の中で人気のあるライオンを見たが。
 父親が痩せて子供になった様な息子の幸太郎と母親を子供にした様な外見の娘の有紀は他のライオン達とは別のコーナーにいるつがいのライオン達を見て言った。
「あれっ、何かね」
「このライオン違うわ」
「鬣多くない?」
「普通のライオンに比べてね」
「そういえば」 
 正幸もそのライオンを見て言った。
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