第98話:お引っ越し
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ないか?」
「え?」
なのはは俺が差し出した小箱を恐る恐る受けとると、
少し見開いた目で俺の顔を見つめる。
「これって・・・」
「開けてみてくれよ」
「うん」
なのははそっと箱を開けた。
「ゲオルグくん、これって・・・」
なのはは箱に入っていた指輪をつまみあげると、俺の方をじっと見つめた。
「うん。結婚してくれ、なのは」
俺がそう言うと、なのはは小さく頷くと俺の胸に顔を押し付けた。
しばらくして、俺から身を離したなのはの目は少し赤くなっていた。
「ね、ゲオルグくん。つけて」
なのははそう言って指輪を俺に手渡してきた。
俺はなのはの左手をとり、床にひざまづくと薬指に指輪を通した。
最後に左手の甲にキスをして、なのはの顔を見上げると
なのはと目が合った。
しばらく見つめあっていると、何が可笑しいのか俺もなのはも
笑いだしてしまった。
ひとしきり笑った後、俺は立ち上がるとなのはの両肩をつかんで、
なのはの顔を見つめる。
「なのは、愛してる」
「わたしも。ゲオルグくんのこと、愛してる」
「ずっと一緒にいような」
「うん。ずっと一緒だよ」
そのときなのはが、あっ、と声を上げる。
「そういえば、お互いの家族にあいさつしに行かないとね」
「ああ、そうだな。それは行かないとまずいだろうな」
そう言って俺は少し考えを巡らせる。
「俺のところはいつでも行けるけど、なのはのところはほいほい行けないだろ」
俺がそう言うと、なのははにっこりと微笑んで首を横に振る。
「もうすぐ年末でしょ。わたしは年末は実家に帰るつもりだから、
そのときに行かない?ヴィヴィオも一緒に」
「そりゃいいな。うん、そうしようか」
「ゲオルグくんのところはどうする?」
「そうだな・・・、姉ちゃんが年内には退院できるらしいから、
それに合わせるか」
「え、いいの? お姉さんが退院して落ち着いてからの方がいいんじゃない?」
「うーん。それもそうだな・・・。よし、じゃあ家が落ちついてからにするか」
「うん! そうしよ!」
そう言ってなのはは満面の笑みを浮かべてうなずいた。
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