第98話:お引っ越し
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「アルコールの度数がキツいからさ・・・」
「そうなの? うーん・・・でも、ゲオルグくんが好きなのなら
ちょっと飲んでみたいかな」
上目づかいに俺の方を見ながら控え目に言うなのは。
・・・不覚にもドキッとしてしまう。
「なら、試しに飲んでみるか?」
そう言って俺はなのはにグラスを手渡す。
「ただ、本当になめる程度にした方がいい・・・」
俺はなのはに向かって注意しようとするが、最後まで言い終わる前になのはは
ぐいっとグラスをあおる。
「おい!最初からそんなに一気に飲んだら・・・」
危ない。と言おうとした瞬間、なのははむせてしまう。
しばらくせき込んだ後、なのはは俺の方にグラスを差し出した。
「ケホッ・・・。何これ、全然おいしくないしのどが焼けそう。ケホッ・・・」
「だからそんなに一気に飲むなって言おうとしたんだよ。ちょっと待ってろよ」
俺はグラスをデスクの上に置くと、キッチンへと走る。
グラスに水を注ぐと俺の部屋に戻り、なのはへ差し出した。
「ほら」
「うん、ありがと・・・」
そう言ってなのははグラスの水を一気に飲み干す。
「ふぅ〜。ちょっと落ち着いたかな」
「そりゃよかった。大丈夫か?」
「うん、平気。それより、ゲオルグくんはよくあんなの飲むね」
「ストレートのウィスキーをガブ飲みする奴が悪いな。
あれはちびちび飲むもんなの」
「最初に言ってよ・・・」
「言おうとした時にはもう飲んでたからな。それより、大丈夫か?」
そう尋ねるとなのはは不思議そうに首を傾げる。
「大丈夫って・・・どういうこと?」
「えーっとな、頭がクラクラするとか妙にポカポカするとかさ」
「別にないよ」
「ならよかった。で、どうする? ウィスキーはもう懲りたかもしれないけど、
ほかの酒でも飲んでみるか?」
「うーん、飲んでみたいけど、わたしどんなお酒があるのか知らないし・・・」
「そっか・・・。じゃあどんな味の酒が飲みたい?」
「そうだなぁ・・・、甘いのとかある?」
「甘いのだな、了解。ちょっと待ってろ」
おれはそう言うと、キッチンへと向かう。
新しいグラスを出すと、カシスリキュールをオレンジジュースで薄め、
マドラーでかき混ぜると、自分の部屋に戻った。
「ほれ、甘い酒持ってきたぞ」
「あ、うん。ありがと」
なのはは俺が差し出したグラスを受け取ると、少し口をつける。
すると、なのはは笑顔になって俺の方を見た。
「これは甘酸っぱくておいしいね」
「高町1尉のお口に合いますか?」
「ふふっ・・・なにそれ。まあそれは置いといて、おいしいよ。ありがとうね」
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