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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第98話:お引っ越し
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返事を返す。

「いいなあ。でもこれなんかもいいんじゃないか?」

そのような会話を俺となのはがしばらく続けていると、
ヴィヴィオの表情が徐々に曇ってきた。
やがて我慢が限界に達したのか、ヴィヴィオは机の上に身を乗り出してきた。

「ヴィヴィオも見るの!」

「ヴィヴィオはデザートを全部食べるんだろ?
 じゃあこんなのは食べなくていいんじゃないか?」

俺がそう言うとヴィヴィオが泣きそうな顔で俺を見上げる。

「ヴィヴィオも食べたいよぅ・・・」

「なら、デザートはどれか一つにしような」

そう言うとヴィヴィオはしばらく悩んだ末に俺に向かって小さく頷いた。

「じゃあ、ママと一緒に食べるものを選ぼっか」

なのはは柔らかな笑顔を浮かべてそう言うと、ヴィヴィオに
向かって自分の膝の上にくるよう促す。
ヴィヴィオは満面の笑みでなのはの膝の上に座ると、
メニューを見てなのはと話しながら自分の
食べるものを選び始める。
俺はその光景を見ながら自分の心が満たされていくのを感じた。



ファミレスでの夕食を終えた俺たち3人はマンションへと帰った。
帰ってすぐ眠そうにしていたヴィヴィオをなのはが寝かしつける間、
俺は自室で酒を飲むことにした。
キッチンでグラスにウィスキーを注ぐと、ボトルを持って自分の部屋に向かう。
部屋にあるデスクにつくと、窓の外の景色に目をやる。
俺の部屋からはクラナガン市街地の夜景が見え、陳腐な言い方ではあるが、
宝石をちりばめたような光景が広がっていた。
その景色を眺めながらウィスキーをちびちびと飲んでいると、
後ろから足音が近づいてきた。

「あ、ゲオルグくん。お酒飲んでたんだ」

声のした方を見るとなのはが壁にもたれかかって立っていた。

「ヴィヴィオは寝たのか?」

「うん、ぐっすりとね」

そう言ってなのはは俺のベッドに腰掛ける。

「なのはも飲むか?」

「私、未成年だよ」

「は?なのはって19歳だろ?」

「そうだよ。だから次の誕生日まではお酒はだめなの」

「何言ってんだ?酒は18からOKだろ」

「え?」

なのはは首をこくんと傾げ、目を丸くして俺を見る。

「どういうこと?」

「いや。どういうことって・・・さっき言った通りだよ」

「じゃあ、私も飲んでいいってこと?」

俺がなのはの言葉に頷くと、なのはは少し考えるそぶりをしてから口を開いた。

「ちょっとだけもらおうかな」

「何を飲む?」

「ゲオルグくんと同じのでいいよ」

なのははこともなげにそう言うが、俺は少し不安を覚える。

「大丈夫か?これ、ストレートのウィスキーだぞ」

「どういうこと?」


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