第二章
[8]前話
「勿論MSXもだしPC88とかもね」
「お父さんがPC88だったみたいよ」
「そっちもないから」
「けれど八条ソフトパソコンゲームも昔から出してるでしょ」
「それでもないから」
琴乃は見たことがないと答えた。
「それで悪いけれどね」
「今は遊べないのね」
「ええ、社員でも家族でもね」
「それは残念ね」
実際に残念そうに言う母だった、そのうえで一家の主婦として家事とパートをしていった。だがその彼女にだ。
琴乃はある日スマートフォンを出して言ってきた。
「うちのスマホゲームでね」
「アプリね」
「クラシックスっていって」
その形でというのだ。
「昔のゲーム集めて出してるのよ」
「ファミコンとかMSXの?」
「ええ、それで遊べるから」
「じゃあやってみるわね。お母さん今もゲーム好きだけれど」
それで娘に言ったし実際にプレイしている。
「昔のゲームって時々でもしたくなるから」
「前に私に言ったのね」
「そうなの。じゃあ早速そのアプリダウンロードするわね」
「そんなにいいのかしら、昔のゲームって」
製薬会社、八条製薬に入社が決まった若葉が言ってきた。
「そんなに」
「いいのよ」
これが母の返事だった。
「あんた達もやがてわかるから」
「そうかしら」
「それって何時よ」
「お母さん位の歳になれば。その頃にもね」
「ゲームが好きなら?」
「それでわかるの?」
「そうよ」
笑顔で言うのだった、そしてだった。
霙はそのアプリを自分のスマートフォンにダウンロードをしてプレイした、そしてそのゲーム達を楽しんで言った。
「昔のゲームはこれはこれで面白いのよ」
「そうなのね」
「お母さんがいいならいいけれど」
娘達はそんな母を見て本当にそうかとわからなかった、だがそれぞれ結婚して子供が出来てこの頃の母と同じ年齢になってわかった。母の言う通りだったと。
ゲーム会社に就職したら 完
2023・2・21
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